試用期間のクビはよっぽど?具体例5つと簡単な対処法【弁護士解説】

試用期間でクビになるのはよっぽどの場合だけなのではないかと悩んでいませんか?
外資系企業から大した理由がないにもかかわらず、本採用をしないと言われてしまって不安に感じている方もいますよね。
試用期間でクビになるのは、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と言えるようなよっぽどの場合とされています。
例えば、パフォーマンス不足や勤務態度の不良のほか、ハラスメントや健康状態が理由とされることも増えています。落ち度はなくても、会社側の業績を理由とされることもあります。
外資を試用期間でクビにならないためには、いくつかのコツがあります。
よっぽどの理由がなくても、試用期間で不当に解雇を言い渡されてしまうことも少なくないので、このような場合には適切に対処していく必要があります。
実は、試用期間であっても、よっぽどの理由がなければ解雇出来ということを十分に理解していない会社が少なからず存在しています。
この記事をとおして、試用期間でクビになるのは、よっぽどの場合に限られるということを多くの方に知っていただくことができれば幸いです。
今回は、試用期間のクビはよっぽどの場合であることを説明したうえで、具体例5つと簡単な対処法を解説していきます。
この記事を読めば、よっぽどの理由がないのに試用期間でクビになってしまったらどうすればいいのかがよくわかるはずです。
試用期間のクビがよっぽどかについては、以下の動画でも解説しています。
目次(contents)
1章 試用期間のクビはよっぽどのケース

試用期間でクビになるのは、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と言えるようなよっぽどのケースです。
試用期間であっても、他の会社へ就職する機会を放棄して、入社した後である以上、本採用拒否は解雇に準じて厳格に判断されるためです。
例えば、具体的な根拠となる事実がないにもかかわらず、会社に合わないなどの主観的な理由だけで解雇することは難しいのです。
また、目標不達成などの客観的な事情がある場合でも、労働者の落ち度と言えない不合理な理由で解雇することも難しいことになります。
ただし、入社後よりも広い範囲での解雇の自由が認められるとされていますので、解雇のハードルは本採用後よりも若干下がります。
とはいえ、実際には本採用後の解雇と同程度に厳格に判断されていると言われることもあります。
2章 試用期間でクビになるよっぽどの理由の具体例
試用期間でクビになるのは、誰が見ても本採用が難しいと判断できるようなよっぽどの理由がある場合に限られます。
どのような事情が該当するのか知っておくと、不当な扱いを受けた際に自分を守る助けになります。
例えば、試用期間でクビになるよっぽどの理由の具体例としては、以下の5つがあります。
具体例2:勤務態度の不良
具体例3:ハラスメント
具体例4:健康状態の不良
具体例5:会社の業績不振

それでは、よっぽどの理由の具体例について順番に見ていきましょう。
2-1 具体例1:パフォーマンス不足
パフォーマンス不足は、試用期間でクビになる理由の中でも代表的なものです。
採用時の期待に達していないと判断されると本採用しないことも合理的とされることがあるためです。
例えば、入社時に設定されたKPIを達成できていなかったなどの理由が挙げられることがよくあります。
ただし、労働者に落ち度がないような場合には、本採用の拒否は合理的とは言えない傾向にあります。
2-2 具体例2:勤務態度の不良
勤務態度に大きな問題がある場合も、試用期間でクビの対象となることがあります。
協調性が著しく欠けていたり、勤務ルールを何度も守れなかったりする場合は、職場環境に悪影響を与えるためです。
例えば、遅刻やサボりがあったり、上司や同僚とのコミュニケーションを拒否したりするケースが挙げられます。
その他、会社からの業務指示に反発するような場合にも、勤務態度不良とされることがあります。
2-3 具体例3:ハラスメント
ハラスメント行為は、試用期間かどうかに関わらず厳しく対処される事情のひとつです。
職場の安全や人間関係に重大な悪影響を与えてしまうため、会社としても見逃すことができないためです。
とくに、外資系企業では、ハラスメントに対してかなり厳格な対応をしてくる傾向にあります。
例えば、同僚に対して威圧的な言動を繰り返したり、不適切なメッセージを送ったりするケースがあります。
ハラスメントによる解雇については、以下の記事でも詳しく解説しています。
2-4 具体例4:健康状態の不良
健康状態が業務遂行に大きく支障をきたす場合も、試用期間の本採用拒否の理由となることがあります。
業務を継続することが身体的に難しいと判断される場合、会社としては無理に働かせることができないためです。
例えば、休職や長期的な治療が必要と判断されるような健康問題が生じてしまったり、体調不良が続き業務に十分に取り組めなかったりするケースがあります。
試用期間ですと、そもそも休職制度の適用がないこともよくあります。
とくに、労働者側は会社側の原因であると感じている場合でも、労災を立証するハードルは高く、私傷病と判断されてしまうことも少なくありません。
2-5 具体例5:会社の業績不振
会社の業績不振が深刻な場合にも、試用期間での本採用拒否が行われることがあります。
経営状況が悪化している会社では、人員を削減する際、試用期間中の労働者を優先的に対象とすることがあります。
例えば、人員削減を避けられない状況に追い込まれてしまったり、採用した部署自体が縮小されたりするケースがあります。
ただし、会社は、労働者を解雇する前に、解雇を回避する努力を行う必要があります。
会社の規模などにもよりますが、別のポジションなどを提示することなく、いきなり解雇することは不当となりやすいです。
3章 外資を試用期間でクビにならないコツ
外資で試用期間のクビを避けるためには、日ごろの働き方やコミュニケーションの取り方を工夫することが大切です。
ちょっとしたことでも本採用を拒否される理由とされることがあるので、隙を見せないようにしましょう。
例えば、外資を試用期間でクビにならないコツとしては、以下の3つがあります。
コツ2:落ち度がない証拠を集めておく
コツ3:メールやチャットの表現に注意する

これらのコツを順番に説明していきましょう。
3-1 コツ1:目標やKPIに注意する
外資では成果が明確な数字で評価されることが多いため、過大な目標に安易に同意しないことが重要です。
一度同意してしまうと、その目標が達成できなかった場合に「パフォーマンス不足」と評価されやすく、本採用拒否の理由に使われてしまうためです。
例えば、担当範囲が広すぎたり、通常の業務時間では達成が難しいほど高いKPIを提示されたりするケースがあります。
このような場合には、そのまま受け入れるのではなく、業務量に対して無理がないかを丁寧に確認したり、必要なリソースや支援を上司に相談したりすることが大切です。
目標の内容を冷静に見直し、自分の業務量と照らし合わせたうえで適切に調整してもらうことで、不当に「よっぽどの理由」と評価されるリスクを避けることができます。
3-2 コツ2:落ち度がない証拠を集めておく
外資では成果が数字で評価されやすいため、目標を達成できなかった場合でも、自分の落ち度ではないことを説明できる証拠を残しておくことがとても重要です。
評価の根拠が不十分な場合でも、証拠がないと労働者側が不利になりやすいためです。
例えば、上司からの指示が途中で変更されたり、必要なリソースが十分に提供されなかったりするケースがあります。
このような背景事情を示すためにも、指示内容をメールで確認したり、ミーティングの要点をチャットで共有したりすることが役立ちます。
また、期限が短すぎる依頼や他部署の遅れが原因で作業が進まなかった場合には、その経緯を記録しておくことが大切です。
このように、目標未達の理由が自分の責任ではないことを丁寧に示せる証拠を集めておくことで、不当な本採用拒否を避けやすくなります。
3-3 コツ3:メールやチャットの表現に注意する
外資では、メールやチャットの表現がそのまま評価につながってしまうことがあるため、コミュニケーションの仕方に注意が必要です。
言葉遣いが雑であったり、誤解されやすい表現を使ってしまったりすると、評価に悪影響が出ることもあります。
例えば、依頼された仕事の期限を確認する場合には、丁寧な表現で確認したり、曖昧な返答を避けたりすることが大切です。
また、急ぎの連絡でも語気が強い表現にならないように気を付けることが役立ちます。
メールやチャットは後から読み返されることが多いため、誤解されないように丁寧で明確なコミュニケーションを心がけるようにしましょう。
4章 よっぽどの理由なく試用期間でクビになった際の対処法
よっぽどの理由がないまま試用期間でクビと言われてしまった場合には、冷静に対処するようにしましょう。
試用期間中であっても、解雇には客観的な根拠が必要であり、会社の一方的な判断だけで生活を左右されてしまうのは避けるべきだからです。
何をすれば自分を守れるのか知っておくことで、不当な扱いに対して適切な行動を取れるようになります。
例えば、よっぽどの理由なく試用期間でクビになった際の対処法としては以下の4つがあります。
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する
それでは、試用期間で不当なクビを言い渡された場合の対処法について順番に見ていきましょう。
4-1 手順1:弁護士に相談する
不当な理由でクビと告げられたと感じたら、まず弁護士に相談することをおすすめします。
法律の専門家に状況を整理してもらうことで、解雇が本当に正当なのかどうかを客観的に判断できるためです。
例えば、「業績不振と言われたものの具体的な根拠が示されていない」「突然本採用拒否だと言われたが、事前に注意や指導がなかった」などのケースでは、解雇が適法かどうかの評価が分かれやすくなります。
弁護士に相談することで、必要な証拠や説明ポイントを整理してもらえたり、自分の状況に応じた対処方針を立ててもらえたりします。
専門家の助言を受けることで、迷いや不安を抱えたまま不利な対応をしてしまうリスクを減らすことができます。
4-2 手順2:通知書に送付する
弁護士に相談したら、会社に対して、あなたの立場を通知するようにしましょう。
クビになった後、なにもせずに放置していると、解雇を認めていたと指摘されたり、働く意思がなかったと反論されたりすることがあるためです。
例えば、本採用拒否は解雇権の濫用であり無効であることを通知することになります。
4-3 手順3:交渉する
会社側からの回答があると争点が明確になりますので、話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議してみましょう。
話し合いにより解決することができれば、少ない負担と労力で、早期に良い解決をできる可能性があります。
4-4 手順4:労働審判・訴訟を提起する
交渉での解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた解決を検討しましょう。
労働審判は迅速に解決を目指す制度で、3回以内の期日で判断が出るのが特徴です。
例えば、解雇の無効を求めて労働審判を申し立て、和解金として数か月分の給与に相当する金額を得るケースもあります。
もし労働審判で解決しなければ訴訟に進み、最終的には裁判所が解雇の有効性を判断することになります。
5章 試用期間のクビについてよくある疑問
試用期間のクビについて、よくある疑問としては以下の3つがあります。
Q2:試用期間でクビになったら転職で不利になる?
Q3:中途だと試用期間でクビになりやすい?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
5-1 Q1:試用期間でクビになる確率は?
A.試用期間でクビになる確率は3%と言われることもありますが、正確な統計があるわけではありません。
クビになる確率が一般的にそれほど高くないのは事実でしょうが、会社やキャリア、能力、態度によっても当然異なります。
気を抜かずに働くようにしましょう。
5-2 Q2:試用期間でクビになったら転職で不利になる?
A.転職しにくくなってしまう可能性はあります。
前職での在籍期間が短くなり、採用面接での説明もしにくいためです。
転職への影響が気になる場合には、会社と交渉し、解雇を撤回してもらったうえで、合意退職に変更するなどの工夫が考えられます。
解雇と履歴書については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-3 Q3:中途だと試用期間でクビになりやすい?
A.中途で即戦力として、入社した場合には試用期間でクビになりやすくなります。
当初より高い能力が期待されることになるため、時間をかけた教育や指導が想定されていないことになるためです。
6章 外資系企業の試用期間解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の本採用拒否は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
本採用拒否の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料、完全成功報酬としております。
初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
7章 まとめ
以上のとおり、今回は、試用期間のクビはよっぽどの場合であることを説明したうえで、具体例5つと簡単な対処法を解説しました。
この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。
“まとめ”
・試用期間でクビになるのは、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と言えるようなよっぽどのケースです。
・試用期間でクビになるよっぽどの理由の具体例としては、以下の5つがあります。
具体例1:パフォーマンス不足
具体例2:勤務態度の不良
具体例3:ハラスメント
具体例4:健康状態の不良
具体例5:会社の業績不振
・外資を試用期間でクビにならないコツとしては、以下の3つがあります。
コツ1:目標やKPIに注意する
コツ2:落ち度がない証拠を集めておく
コツ3:メールやチャットの表現に注意する
・よっぽどの理由なく試用期間でクビになった際の対処法としては以下の4つがあります。
手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する
この記事が試用期間でクビになるのはよっぽどの場合だけなのではないかと悩んでいる外資系企業の従業員の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日



