リストラで退職金は出る?相場や上乗せ交渉の方法と税金【弁護士解説】
リストラの際にも退職金が支給されるのが通常です。
外資系企業などでは、通常の退職金に加えて割増退職金が支給されることも少なくありません。
<この記事でわかること>
・リストラの退職金の割増相場は、賃金の3か月分~2年分程度です。
・リストラで退職金の上乗せ交渉をするには、合意書にサインをせず持ち帰ったうえで、見通しやリスクを分析したうえで方針を決め、説得的にあなたの立場や意見を示していくことになります。
・リストラで退職金なしとされたら、退職に合意せず、解雇を争っていくことが考えられます。
この記事を読めば、リストラの退職金についてよくわかるはずです。
目次(contents)
1章 リストラ時の退職金とは
リストラに伴う退職金には、これまで働いてきた功労として支払われるものや、急な離職への補償として特別にプラスされるものなど、いくつかの種類が存在します。
それぞれの性質を正しく理解しておくことは、会社から提示された条件が妥当であるかを判断するために非常に重要です。
例えば、リストラ時の退職金は大きく分けると以下の2つがあります。
・割増退職金
それでは、それぞれの退職金がどのような性質を持っているのか順番に見ていきましょう。
1-1 通常の退職金
通常の退職金とは、会社の就業規則や退職金規定に基づいて、勤続年数や役職などに応じて計算されるお金のことです。
これはリストラの有無にかかわらず、あらかじめ決まったルールに従って支払われる性質を持っています。
なぜなら、退職金は「賃金の後払い」としての側面があるため、一定の条件を満たせば当然に受け取る権利が発生するからです。
例えば、社内規定で「勤続3年以上の者に支給する」と定められていれば、リストラであってもその規定通りの金額が支払われます。
まずは自分の会社の規定を確認したり、担当部署に問い合わせたりして、基本となる金額を把握しましょう。
1-2 割増退職金
割増退職金とは、通常の退職金に加えて、会社が特別に上乗せして支払うお金のことを指します。
会社側としては、労働者に納得して退職に応じてもらいたいと考えたり、急な解雇による生活への影響を和らげたいと判断したりする場合があるためです。
例えば、再就職が決まるまでの生活費として給与の数ヶ月分を上乗せしたり、早期退職の優遇措置として一律で加算したりするケースがあります。
この割増金は法律で金額が決まっているわけではありませんが、リストラという苦渋の決断を受け入れる労働者にとって、大切な再出発の資金となります。
割増退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
2章 リストラでも退職金は出る

会社からリストラを言い渡されたからといって、退職金がもらえなくなるわけではありません。
原則として、リストラによる退職であっても、会社の規定に基づいた退職金を受け取ることが可能です。
なぜなら、リストラは「会社都合」による退職にあたり、多くの企業では自己都合で辞める場合よりも退職金の支給率を高く設定したり、特別な加算金を用意したりしているからです。
例えば、会社の経営状況が苦しいという理由であっても、退職金規定というルールがある以上、会社が勝手に「退職金はゼロにする」と決めることは法律的に認められないケースがほとんどです。
このように、リストラは労働者側に落ち度がない退職であるため、これまでの貢献に対する報いとして、またこれからの生活を支える準備金として、退職金を受け取る権利はしっかりと守られています。
3章 リストラの割増退職金の相場
リストラに伴う割増退職金の相場は、一般的に月収の3ヶ月分から2年分程度とされています。
会社が早期退職を募る際などは、労働者に納得して退職に応じてもらうために、通常の退職金にこれだけの金額を上乗せして提示することが多いためです。
例えば、割増退職金の相場については以下のような要素が関係しています。
・年齢や勤続年数に応じた加算額
・役職や貢献度による上乗せの幅
それでは、リストラの割増退職金の相場について順番に見ていきましょう。
3-1 割増金の目安は月収の数ヶ月分から数年分です
リストラにおける割増退職金の多くは、月収の3ヶ月分から24ヶ月分程度が目安となります。
これほどの幅があるのは、会社の経営体力やリストラの緊急度によって、提示できる金額に大きな差が出るからです。
例えば、経営に余裕がある大企業が早期退職を募るケースでは、月収の2年分という手厚い上乗せが提示されることもあります。
一方で、経営再建を急ぐ中小企業などの場合は、数ヶ月分の給与に相当する額を上乗せするのが精一杯というケースも少なくありません。
自分の会社の規模や周囲の状況を照らし合わせながら、提示額を検討することが大切です。
3-2 年齢や勤続年数によって加算額が変わります
割増退職金の額は、退職時の年齢やこれまでの勤続年数によって大きく変動するのが一般的です。
再就職が難しいとされる年齢層の方や、長年会社に貢献してきた方に対しては、会社側もより手厚い補償を用意しようと考えるからです。
例えば、40代や50代の働き盛りの層に対しては、若手社員よりも割増率を高く設定したり、一律で数百万円を加算したりする仕組みをとる場合があります。
このように、年齢に応じたリスクやこれまでの功労を考慮して、一人ひとりの状況に合わせた計算が行われることになります。
3-3 外資系企業では相場が高くなる傾向にあります
外資系企業におけるリストラでは、国内企業に比べて割増退職金の相場がさらに高くなる傾向が見られます。
外資系企業は雇用の流動性が高く、早期に合意退職を成立させるために、あらかじめ高額なパッケージ(退職金セット)を用意していることが多いからです。
例えば、勤続年数がそれほど長くなくても、月収の1年分以上の割増金を一括で支払うという条件が提示されるケースも珍しくありません。
もちろん企業ごとに方針は異なりますが、外資系企業にお勤めの方は、国内の一般的な基準よりも高い水準での交渉が期待できる場合があります。
4章 リストラで退職金を上乗せ交渉する方法
会社から提示された退職金の額に納得がいかない場合、上乗せを求めて交渉を行うことが可能です。
リストラは会社側の都合で労働者に退職を求める手続きであるため、労働者が合意する条件として金額の増額を提案することは正当な権利といえます。
例えば、退職金の上乗せ交渉を進めるステップとしては以下の通りです。
・弁護士に相談する
・交渉する
・労働審判・訴訟を提起する

それでは、リストラで退職金を上乗せ交渉する方法について順番に見ていきましょう。
4-1 合意書にサインせず持ち帰る
会社から退職条件を提示された際、その場ですぐに合意書などの書類にサインをしてはいけません。
一度サインをしてしまうと、後から「やはり金額が少ないので上乗せしてほしい」と主張したり、内容を覆したりすることが極めて困難になるからです。
例えば、会社から「今すぐサインすればこの金額を保証する」と急かされたとしても、一度自宅に持ち帰ってじっくり検討する時間を確保してください。
冷静に内容を分析したり、家族と相談したりする時間を持つことが、納得のいく交渉の第一歩となります。
4-2 弁護士に相談する
自分一人での交渉に不安を感じる場合は、早い段階で弁護士に相談してアドバイスを受けるのが賢明です。
弁護士であれば、過去の似たようなケースと照らし合わせて提示額が妥当かどうかを判断したり、交渉の見通しやリスクを客観的に分析したりできるからです。
例えば、法律的な観点から会社側のリストラ理由に無理がないかをチェックしてもらったり、代わりに交渉の戦略を立ててもらったりすることが可能です。
専門的な知見を借りることで、精神的な負担を減らしながら、自分にとって良い解決を目指すことができます。
4-3 交渉する
準備が整ったら、会社に対して退職金の上乗せを求める具体的な交渉を行います。
単に「お金を増やしてほしい」と感情的に伝えるのではなく、なぜ上乗せが必要なのかを論理的に説明することが成功の鍵となります。
例えば、これまでの会社への貢献度を改めて示したり、急なリストラによる生活への影響を具体的に数字で伝えたりする方法が考えられます。
このように、根拠を持って自分の立場や意見を伝えることで、会社側も「この条件では合意が得られない」と判断し、増額を検討しやすくなります。
4-4 労働審判・訴訟を提起する
話し合いでの解決が難しい場合には、労働審判や訴訟といった法的な手続きを検討することになります。
裁判所という公的な場を通じて、リストラの正当性や退職金の妥当性を争うことで、会社側に解決金の支払いを促すことができるからです。
例えば、リストラの理由が不十分であると認められれば、本来の退職金に加えて解決金を受け取れる可能性も出てきます。
手続きには時間や労力がかかりますが、納得できない条件で無理に退職に応じるのではなく、正当な権利を主張するための最終的な手段として知っておくことが大切です。
労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
5章 リストラで退職金なしとされたら
会社からリストラを言い渡された際に「退職金は一円も出ない」と告げられても、決してその場で諦めるべきではありません。
会社に退職金規定がある限り、経営難などの理由があっても会社側が一方的に支払いを拒むことは法律上認められないのが原則だからです。
もし退職金なしという不当な条件を押し付けられそうになったら、まずは退職への合意を拒否し、解雇そのものの有効性を徹底的に争っていく姿勢を示すことが重要です。
割増退職金が出ないと言われた場合にも、労働者としては任意で退職に応じるメリットが少ないので退職を拒むことが考えられます。
例えば、会社が「お金がない」と主張して支払いを逃れようとしても、労働審判などの法的な手続きを通じて、本来受け取るべき退職金や解決金の支払いを求めていくケースも考えられます。
このように、リストラによる退職金なしと言われた場合には、毅然とした態度で専門家などの力を借りながら、正当な補償を求めて行動していくことが考えられます。
6章 リストラの退職金と税金
リストラの退職金には、税金がかかります。
通常の退職金と割増退職金のいずれも退職所得として処理されるのが通常です。給与所得などより節税効果が高い費目です。
会社からは、所得税や住民税が源泉されたうえで、振り込まれることになります。
退職金が振り込まれるまでに退職所得の受給に関する申告書を提出する必要があります。
7章 リストラの退職金についてよくある疑問
リストラの退職金について、よくある疑問としては以下の3つがあります。
Q2:黒字リストラの退職金は?
Q3:リストラの退職金の著名事例は?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
7-1 Q1:リストラの退職金と勤続年数の関係は?
A.リストラの退職金において、勤続年数は金額を決定する大きな要素の一つとなります。
多くの会社の退職金規定では、長く勤めた人ほど基本の支給率が高くなるように設定されており、割増金もそれに基づき計算されるからです。
勤続年数が短い場合は数ヶ月分の加算にとどまるケースもありますが、勤続20年を超えるようなベテランの方であれば、上乗せ額が大幅に増える仕組みをとる場合があります。
このように、これまでの会社への貢献度を年数という形で評価し、再就職までの期間を考慮した補償が行われるのが一般的です。
7-2 Q2:黒字リストラの退職金は?
A.会社が利益を出しているにもかかわらず行われる「黒字リストラ」の場合、通常のリストラよりも退職金の条件が手厚くなる傾向にあります。
会社側には経営破綻の危機があるわけではなく、将来の構造改革のために早期退職を募るという側面が強いため、より高い割増金を提示して円満な退職を促そうとするからです。
例えば、通常の割増金に加えて「特別加算金」として多額の金銭を上乗せしたり、再就職支援サービスの費用を会社が全額負担したりすることもあります。
黒字の状態であれば会社にも資金的な余裕があるため、労働者側もしっかりとした条件を求めていくことが可能です。
7-3 Q3:リストラの退職金の著名事例は?
A.リストラの退職金で著名な事例としては、日産や東芝の事例があります。
これらの大企業では、経営改革を進める際に、通常の退職金に加えて非常に手厚い割増金を支払って希望退職を募ったことで知られています。
なぜなら、社会的影響力の大きい企業においては、労働者が納得して再出発できるよう、大きな加算金を用意して生活を保障しようと判断することがあるからです。
これまでの貢献に報いるための特別加算金や、再就職支援の費用を会社が全面的に負担するようなケースも考えられます。
このように、企業の規模や経営状況によっては、将来の安心を支えるために破格の条件が提示されることもあるのが実情です。
8章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の解雇は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
本採用拒否の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料、完全成功報酬としております。
初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
9章 まとめ
以上のとおり、今回は、リストラで退職金は出るかを説明したうえで、相場や上乗せ交渉の方法と税金を解説しました。
この記事が外資系企業からリストラを言い渡されてしまい退職金に悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日



