ロックアウト型解雇の意味|違法性や重要事例と簡単な対処法4つ

外資系企業から解雇を言い渡されると同時にロックアウトされてしまい困っていませんか?
突然、解雇されただけでなく、一方的に締め出されてしまい戸惑ってしまった方も多いですよね。
ロックアウト型解雇とは、労働者に対して解雇前又は解雇予告通知と同時に強行的に会社から締め出すことをいいます。
ロックアウト型解雇は、直ちに違法になるわけではありませんが、一定の場合には違法になる可能性もあります。
会社側が解雇の際にロックアウトを行う狙いは、情報へのアクセスを遮断すると同時に、労働者の復職意欲を削ぐことです。
ロックアウト型解雇に関する裁判例としては、日本IBM事件(東京地判平成28年3月28日労働判例1142号40頁)があります。
労働者としては、ロックアウト期間中の給料が支払われない場合には当然これを請求していきますし、解雇後の給料についても解雇が不当であればこれを請求していきます。
労働者としては、解雇の際にロックアウトをされてしまった場合でも、焦らず冷静に対処していくようにしましょう。
実は、昨今、外資系企業は、労働者を解雇する際に早い段階からロックアウトを行ってくることが非常に多くなっています。
この記事をとおして、外資系企業で働く労働者の方々に近年問題となっているロックアウト型の解雇がどのようなものかを知っていただければ幸いです。
今回は、ロックアウト型解雇の意味を説明したうえで、違法性や重要事例と簡単な対処法4つを解説していきます。
この記事を読めば、解雇の際に外資系企業からロックアウトされてしまった場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次(contents)
1章 ロックアウト型解雇とは|意味
ロックアウト型解雇とは、労働者に対して解雇前又は解雇予告通知と同時に強行的に会社から締め出すことをいいます。
これまでロックアウトと言う言葉は、争議行為の際に労働者からの労務の受領を拒絶し、事業場から締め出す意味で使われていました。
このような締め出し行為について争議行為の場面だけではなく、解雇の際にも用いられることが多くなっています。
例えば、人事から突然ミーティングを設定されて、「あなたのパフォーマンスが期待に沿わないから退職してほしい、明日から、出社を禁止し、PC等のアクセスも制限する」などと言われます
また、解雇予告通知を手渡すと同時に有無を言わさず、帰らされて会社内に入ることを禁止されてしまうこともあります。
このように強硬的に会社から締め出す態様を捉えて、ロックアウト型解雇と言う言葉が用いられることがあるのです。
2章 ロックアウト型解雇は違法?
ロックアウト型解雇は、直ちに違法になるわけではありません。
労働者には就労の義務があっても、就労の請求をする権利があるとされているわけではないためです。
また、対立的になった労働者は、会社の機密情報を漏洩するおそれがあるという点も違法性を否定する理由として指摘されることがあります。
そのため、ロックアウト型の解雇をされたとしても、ロックアウト自体を理由に慰謝料を請求することは容易ではありません。
ただし、ロックアウト型の解雇は、一定の場合には違法になる可能性もあります。
例えば、職場から孤立させる目的で解雇前にロックアウトを行う場合には、人間関係からの切り離しとして職場におけるパワ―ハラスメントに該当する可能性があります。
また、退職に応じないので退職勧奨はやめてほしいと労働者が明確に述べているにもかかわらず、解雇せずロックアウトを継続することは、退職強要に該当する可能性があります。
更に、不当解雇の悪質性の程度を判断する際に、解雇理由を丁寧に説明しない態度や、強硬的な態度も解雇自体の違法性を判断する一つの要素とされることがあります。
3章 ロックアウト型解雇の会社の狙い
会社側がロックアウト型の解雇を行う際には、いくつかの狙いがあります。
ロックアウトを用いて交渉を有利に進めようとしている場合もあるので、労働者としても会社側のやり方を知っておく必要があります。
例えば、会社側はロックアウトを行う際に、以下のことを狙っていることがあります。
狙い2:労働者の復職の意思を削ぐ
それでは、これらの会社側の狙いについて順番に説明していきます。
3-1 狙い1:情報へのアクセス遮断
ロックアウト型解雇の会社の狙いの1つ目は、情報へのアクセス遮断です。
会社側は、対立的な労働者が会社の情報にアクセスすると、解雇に反論するための証拠を集められてしまうと考えます。
例えば、メールやチャットの履歴、業務の成果物などは、労働者にとっても解雇を争う際に重要な証拠となります。
会社側は、労働者の情報へのアクセスを遮断することにより、労働者に証拠を集められないようにしようとするのです。
3-2 狙い2:労働者の復職の意思を削ぐ
ロックアウト型解雇の会社の狙いの2つ目は、労働者の復職の意思を削ぐことです。
ロックアウトされてしまうと、同僚や取引先とも連絡をとることができなくなり、人間関係からの切り離されてしまいます。次第に職場に戻りにくい雰囲気となっていきます。
また、外資系企業で働く労働者は行動的な方が多いので、何もやることがなければキャリアアップのために転職活動などを始めます。
このように会社は、ロックアウトすることで職場に戻りにくくすると同時に転職活動を促し、労働者の復職の意思を削ごうとするのです。
4章 ロックアウト型解雇の事例|日本IBM事件
ロックアウト型解雇が問題とされた事例としては、日本IBM事件があります。
日本IBM事件の弁護団は、声明において、「長年勤務してきた労働者を突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴な態様」と評しています。
(出典:声明 日本IBMのロックアウト解雇、四度目の断罪! – JMITU日本アイビーエム支部 (jmitu-ibm.org))
これに対して、裁判所は、ロックアウト解雇につき違法性があるとまでは認定せず、慰謝料については認めませんでした。
「解雇予告をして対立状態となった当事者が機密情報を漏えいするおそれがあり、しかも、漏えいが一旦生ずると被害の回復が困難であることからすると、上記の措置に違法性があるとはいえない。」と判示しています(東京地判平成28年3月28日労働判例1142号40頁[日本IBM事件])。
ただし、同裁判例も、解雇自体については濫用として無効であるとしており、解雇日以降の賃金については遡って支払うよう命じています。
5章 ロックアウト型解雇と給料
ロックアウト型解雇では、ロックアウト期間中の給料についても請求できる可能性があります。
ロックアウト期間中に労働者が就労できなかった原因は、会社側が労務の受領を拒絶していたことにあり、労働者側の落ち度によるものではないためです。
会社側も、ロックアウトする場合であっても、解雇日までの給料については、争わずに通常どおりに振り込んでくる傾向にあります。
また、解雇された後の給料についても、解雇が不当であった場合には、労働者が出勤できなかった原因は会社側にあることになりますので、遡って請求できます。
これをバックペイと言います。不当解雇を争う際に中心的な請求になっていきます。
例えば、2025年4月30日付けで解雇された場合に不当解雇を争い、2026年4月30日に解雇が不当と認められた場合には、1年分の給料が遡って払われる可能性があります。
このように労働者は、ロックアウト型解雇をされた場合には、ロックアウトや解雇により出勤できなかった日の給料についても請求していくことになるのです。
解雇後の給料については、以下の記事で詳しく解説しています。
6章 ロックアウト型解雇された場合の対処法
労働者としては、解雇の際にロックアウトをされてしまった場合でも、焦らず冷静に対処していくようにしましょう。
ロックアウトは外資系企業の常套手段であり、ロックアウトされたからと言って解雇を争えなくなってしまうわけではありません。
例えば、ロックアウト型解雇をされた場合の対処法としては、以下のとおりです。
手順2:通知書を出す
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
6-1 手順1:弁護士に相談する
ロックアウト型解雇をされた場合の対処手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
解雇が不当かどうか、どのように証拠を集めればいいのかについて、助言してもらいサポートを受けるといいでしょう。
外資系企業は解雇紛争に慣れていることが多いので、労働者が対等に立ち向かっていくためには専門化を頼ることがおすすめです。
ただし、弁護士であれば誰でもいいというわけではなく、労働問題に注力していて、外資系企業の解雇問題に実績のある弁護士を探すといいでしょう。
6-2 手順2:通知書を出す
ロックアウト型解雇をされた場合の対処手順の2つ目は、通知書を出すことです。
会社に対して、解雇が不当であること、ロックアウトは不当であるため即刻解消するよう求めることを通知しましょう。
何もせずに放置していると労働者自身も働く意思を持っていなかったなどと反論されることがあるためです。
また、会社によっては、解決金交渉において、ロックアウト期間は働かずに給料をもらっていたのだから、解決金の金額を決める際に減額してほしいなどと言ってくることがあります。
このような会社の反論や言い分を許さないためにも、労働者としては、解雇やロックアウトに不満があることを明確にしておく必要があるのです。
6-3 手順3:交渉する
ロックアウト型解雇をされた場合の対処手順の3つ目は、交渉することです。
会社側から回答があると争点が明確になりますので、話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議してみるといいでしょう。
適切に交渉していくことで紛争を回避でき、納得できるパッケージ金額を獲得できることも多いです。
外資系企業のパッケージについては以下の記事で詳しく解説しています。
6-4 手順4:労働審判・訴訟を提起する
ロックアウト型解雇をされた場合の対処手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いによる解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた解決を検討します。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
7章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の解雇は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
本採用拒否の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
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8章 まとめ
以上のとおり、今回は、ロックアウト型解雇の意味を説明したうえで、違法性や重要事例と簡単な対処法4つを解説しました。
この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。
“まとめ”
・ロックアウト型解雇とは、労働者に対して解雇前又は解雇予告通知と同時に強行的に会社から締め出すことをいいます。
・ロックアウト型解雇は、直ちに違法になるわけではありません。ただし、一定の場合には違法になる可能性もあります。
・会社側はロックアウトを行う際に、以下のことを狙っていることがあります。
狙い1:情報へのアクセス遮断
狙い2:労働者の復職の意思を削ぐ
・ロックアウト型解雇が問題とされた事例としては、日本IBM事件があります。
・ロックアウト型解雇では、ロックアウト期間中の給料についても請求できる可能性があります。
・ロックアウト型解雇をされた場合の対処法としては、以下のとおりです。
手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を出す
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する
この記事が外資系企業から解雇の際にロックアウトをされてしまい困っている方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日