外資系のRSUとは?損しない知識と税金や確定申告とをわかりやすく解説
外資系企業のRSUについて知りたいと悩んでいませんか?
なんとなく株がもらえるということは分かっても法律や税金についてどのように考えられているのか正確に理解できていない方も多いですよね。
外資系のRSUとは、在籍期間などの一定の条件を満たすことで株式の付与を受けることができる制度です。
RSUとストックオプションの違いは、RSUは待っていれば株をもらえる制度ですが、ストックオプションは株を安く買える権利をもらえる制度であるということです。
RSUがお金になるまでは、ユニットの付与(Grant)、権利の確定(Vest)、売却(Sell)という過程を経ることになります。
RSUは権利確定時や配当時、譲渡時に課税されることになりますので、確定申告が必要となります。
また、RSUは、会社側の働きかけにより退職せざるを得なくなってしまったような場合に、未確定部分の処理につきトラブルとなることもあります。
実は、RSUについては大きな価値のある権利であり、よく考えずに会社の言いなりになってしまうと損をしてしまうこともあります。
この記事をとおして、外資系企業で働く労働者の方々にRSUについての法律と税金の知識を知っていただければ幸いです。
今回は、外資系のRSUとは何かを説明したうえで、損しない知識と税金や確定申告とをわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、外資系企業のRSUについてよくわかるはずです。
外資系のRSUについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次(contents)
1章 外資系のRSUとは?わかりやすく説明
外資系のRSUとは、在籍期間などの一定の条件を満たすことで株式の付与を受けることができる制度です。
企業は労働者に長期にわたり働き続けてもらうために、在籍し続けた場合の報酬を用意しておくのです。
また、労働者が会社に貢献をして株式の価値があれば、その恩恵を労働者も受けることができるため、モチベーションにも繋がることになります
例えば、入社時に数百万円分の価値のRSUの付与を受けて、1年ごとに4分の1ずつ権利が確定していき、権利が確定した部分について、外資系本社の株式の交付を受けることができるというようなケースがよくあります。
このようにしてRSUの付与を受ければ、労働者は4年間は退職したくないと考えるでしょうし、貢献して株価を上げることで自分も恩恵を受けられることになります。
2章 RSUとストックオプションとの違い
RSUとストックオプションの違いは、RSUは待っていれば株をもらえる制度ですが、ストックオプションは株を安く買える権利をもらえる制度であるということです。
まずRSUは、企業が実際の株式を従業員に「将来のためにとっておいてね」とあげるようなものです。
ただし、すぐにはその株を売ったりできません。決められた年数や条件をクリアすると、「はい、お待たせ。自由に使ってOK!」となり、初めて売ったりして現金化できます。
つまり、与えられた株をじっくりと寝かせて条件が整うのを待つ、そのようなイメージです。
一方、ストックオプションは、「今は買わなくていいけど、あとで会社の株をこの値段で買っていいよ」という権利です。
株価がぐっと上がった時にその権利を使えば安く買って高く売れるので利益が得られる、まさに「投資チャンス」をもらっているようなものです。
でも、株価が下がったら…権利を使う意味がなくなるので、利益は出ません。
RSUは、ストックオプションと比較すると、とくに対価などは必要とせずに株式の交付を受けることができるので、株価が下がっても利益を受けることができ、より確実性の高い権利と言えるでしょう。
3章 RSUがお金になるまでの流れ
RSUは最初から現金として振り込まれるわけではありません。
RSUから現金になるまでには、いくつかの過程を経る必要があります。
具体的には、RSUがお金になるまでは、ユニットの付与(Grant)、権利の確定(Vest)、売却(Sell)という過程を経ることになります。
それでは、これらの流れについて順番に説明していきます。
3-1 ユニットの付与(Grant)
まずは、企業からユニットと呼ばれる未確定の権利を付与されることになり、これをGrantと呼びます。
ユニットの段階では権利として確定しておらず、まだ株式の交付を受けることができませんので処分することはできませんし、金銭的な価値もありません。
例えば、入社時に60000ドル分のRSUであるなどとして、3521.3ユニットの交付を受けるような場合があります。
3-2 権利の確定(Vest)
次に、一定の在籍期間を満たすなどすると、権利が確定し、株式の交付を受けることができます。
株式の交付を受けた後は、自由に処分をすることができるようになります。そのまま保持し続けることも自由です。
例えば、1年程度かけて4分の1ずつ権利が確定していき、4年ですべての権利が確定するようなケースなどが多いです。
3-3 売却(Sell)
最後に、権利が確定し株式の交付を受けたら、売却することにより金銭にすることができます。これをsellといいます。
上場している株式であれば、システム上から売却できますので、簡単に金銭にすることができます。
一方で未上場株式の場合には、売却が困難なことが多く、権利が確定しても売却できず、金銭化できないことがあります。
4章 RSUと税金|確定申告の方法
RSUについては、いくつかのタイミングで税金が発生することになります。
経済的な価値が生じれば、課税の対象となるためです。
まず、権利確定時(Vest時)に、給与として課税されることが一般的です。
外国本社の株式の場合などには、源泉されないことも多いので、確定申告を行う必要があります。
次に、株式への配当時にも、配当課税がされることになります。
国内の証券会社を通じて交付を受ける場合には源泉されるため確定申告は不要ですが、国外の証券会社を通じて交付を受ける場合には源泉されないため確定申告が必要となります
最後に、権利確定後に株式を売却する場合(sell時)には、譲渡課税がされることになります。取得額と売却額の差額が所得となるため、確定申告が必要となります。
5章 RSUと退職|退職勧奨や解雇時の処理
RSUは、会社側の働きかけにより退職せざるを得なくなってしまったような場合に、未確定部分の処理につきトラブルとなることもあります。
確定前に退職してしまうと、未確定部分は消滅してしまい、株式の交付を受けることができないためです。
例えば、会社から退職勧奨された場合に何も言わずに退職届にサインをしてしまうと、未確定部分は消滅してしまうことになります。
未確定部分があるため、同部分を補償いただかなければ退職に応じることはできない等の対応をすることが考えられます。
また、会社から解雇をされた場合には、会社は労働者が退職したものとして処理をしてきますので、やはり未確定部分は消滅したものとして処理されてしまいます。
解雇の有効性を争うなどしたうえで退職処理が誤っていることを明確にしたうえで、株式の交付を求めていくことが考えられます。
いずれにせよ、会社側の働きかけにより退職せざるを得なくなってしまったような場合には、RSUの未確定部分なども意識して対応していくといいでしょう。
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外資系企業のパッケージ交渉は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
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7章 まとめ
以上のとおり、今回は、外資系のRSUとは何かを説明したうえで、損しない知識と税金や確定申告とをわかりやすく解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・外資系のRSUとは、在籍期間などの一定の条件を満たすことで株式の付与を受けることができる制度です。
・RSUとストックオプションの違いは、RSUは待っていれば株をもらえる制度ですが、ストックオプションは株を安く買える権利をもらえる制度であるということです。
・RSUがお金になるまでは、ユニットの付与(Grant)、権利の確定(Vest)、売却(Sell)という過程を経ることになります。
・RSUについては、いくつかのタイミングで税金が発生することになります。
・RSUは、会社側の働きかけにより退職せざるを得なくなってしまったような場合に、未確定部分の処理につきトラブルとなることもあります。
この記事がRSUについてよくわからないと悩んでいる外資系企業の従業員の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日