日本ではレイオフできない?日本の法律とレイオフが違法となる例4つ

日本ではレイオフできない?日本の法律とレイオフが違法となる例4つ

日本ではレイオフできない?日本の法律とレイオフが違法となる例4つ

外資系企業の日本法人で働いているもののレイオフを通達されてしまい困っていませんか

自分に落ち度がないのにいきなり退職するように求められても、納得がいかないですよね。

日本の外資系企業でレイオフという場合には、リストラや整理解雇と同様の意味で用いられる傾向にあります

日本でも、業績悪化などを理由にレイオフを行うこと自体は、可能です。

ただし、日本の法律では、レイオフという制度はありませんので、通常、整理解雇という方法によることになり、再雇用は前提とされません

日本でレイオフが違法となりやすい例としては、人員削減の必要性がないケース、解雇回避努力が尽くされていないケース、恣意的に対象者が選ばれているケース、十分に説明等がされていないケースがあります。

レイオフにおけるパッケージの相場としては、賃金の3か月分から1年6か月分程度です。

外資系企業からレイオフされてしまった場合であっても、生活やキャリアを守るためには、焦らずに冷静に対処していく必要があります

この記事をとおして、外資系企業で働く方々に日本でレイオフされてしまった場合に必要な知識をお伝えしていくことができれば幸いです。

今回は、日本ではレイオフできないのかについて説明したうえで、日本の法律とレイオフが違法となる例4つを解説していきます。

この記事を読めば、日本でレイオフされてしまった場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。

レイオフについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

1章 日本におけるレイオフとは

日本におけるレイオフとは

日本の外資系企業でレイオフという場合には、リストラや整理解雇と同様の意味で用いられる傾向にあります

レイオフとは、本来は、業績回復後に再雇用することを約束して、一時的に従業員を解雇することをいいます。

しかし、日本には、レイオフという制度はありません

通常、日本で、レイオフをする際には、整理解雇という方法によることになり、再雇用は前提とされません。

そのため、日本の外資系企業でレイオフという場合には、リストラや整理解雇と同様の意味で用いられていることが多いのです

外資系の本社がグローバルで通知を出す際に「lay off」という単語を用いるため、日本法人でも、正確にはリストラ・整理解雇であっても、レイオフという表現を使いがちなのです。

2章 日本ではレイオフはできない?

日本でも、業績悪化などを理由にレイオフを行うこと自体は、可能です

日本でも、企業は、労働者の自発的な意思を促すという限度であれば、退職勧奨を行うことも許容されています。

また、解雇は、労働者側に落ち度がある場合ばかりではなく、企業側の原因による場合にも行うことができます。

実際、2022年11月以降、外資金融や外資ITにおいて大規模なレイオフが行われており、日本法人においても削減目標が設けられ、続々とレイオフされています

これまで名だたる大企業のレイオフがメディアでも大々的に取り上げられてきました。

2024年現在でもレイオフの波は収まっておらず、定期的に人員削減が繰り返されている状況です。

そのため、日本で働いている場合であっても、レイオフは決して他人ごとではありません

とくに、外資系企業に勤めている方であれば尚更です。明日は我が身であり誰でも対象となる可能性があります。

3章 レイオフと日本の法律

日本ではレイオフ自体を規制した法律があるわけではありません

先ほど説明したように、日本ではレイオフの際に整理解雇と言われる方法がとられることになります。

整理解雇は、解雇の種類の一つであり、労働契約法の解雇権濫用法理により規制されることになります。

労働契約法16条では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でなければ解雇は濫用となるとされています

外資系企業がレイオフの際に整理解雇を言い渡したとしても、合理性と相当性がなければ、不当な解雇として無効となるのです。

解雇が無効になると、労働者は企業を退職していなかったことになりますので、解雇日以降の賃金を遡って請求できる可能性があることになります。これをバックペイと言います

例えば、2024年9月30日を解雇日とする解雇を言い渡されて、2025年9月30日に解雇は無効と認められた場合には、1年分の賃金を遡って請求できる可能性があるのです。

そのため、日本においてレイオフの法律関係を考える際には、解雇と同様に考えていくことになります

4章 日本でレイオフが違法となる例4つ

日本においてレイオフを言い渡す際にも、違法となることがあります

整理解雇をした場合には解雇権濫用法理により規制されることになるためです。

具体的には、日本でレイオフが違法となりやすい例としては、以下の4つがあります。

例1:人員削減の必要性がないケース
例2:解雇回避努力が尽くされていないケース
例3:恣意的に対象者が選ばれているケース
例4:十分に説明等がされていないケース

日本でレイオフが違法となる例4つ

それでは、これらの例について順番に説明していきます。

4-1 例1:人員削減の必要性がないケース

日本でレイオフが違法となる例の1つ目は、人員削減の必要がないケースです

整理解雇を言い渡す際には人員削減の必要性があるか否かということが重要な考慮要素となります。

例えば、債務超過に至っていて人員を削減しなければ、事業を継続することが困難な収支状態である場合には、人員削減の必要性は認められやすいでしょう。

一方で、単に利益率を上げるために人件費を削減しようとしている場合、人件費以外への投資を拡大するなど経営状態の悪化とは矛盾した態度がとられている場合には、必要性は否定されやすいでしょう

4-2 例2:解雇回避努力が尽くされていないケース

日本でレイオフが違法となる例の2つ目は、解雇快歩努力が尽くされていないケースです

解雇は最終手段とされており、解雇を言い渡す前に解雇を回避するための方法を模索しなければなりません。

例えば、ポジションの変更を命じたり、希望退職を募集したりと言った方法です

解雇を回避する手段があるのに、そのような手段を行わずに解雇が強行されている場合には、解雇は不当となります。

4-3 例3:恣意的に対象者が選ばれているケース

日本でレイオフが違法となる例の3つ目は、恣意的に対象者が選ばれているケースです

整理解雇の対象については、合理的な人選基準を設けたうえで、これを合理的に運用したうえで選定する必要があります。

例えば、様々な要素を総合的に考慮したうえで、対象者を決めたといったような方法では不合理となりやすい傾向にあります。

4-4 例4:十分に説明等がされていないケース

日本でレイオフが違法となる例の4つ目は、十分に説明等がされていないケースです

整理解雇をする際には、企業は労働者の理解を得られるように説明を尽くさなければなりません。

例えば、企業の経営状態がよくないと述べるのみで、どの程度切迫しているのかを説明しなかったり、退職条件の具体的な調整等も何ら行わなかったりした場合には、不当となりやすいでしょう。

5章 日本でレイオフされる際のパッケージの相場

日本でレイオフが行われる際のパッケージの相場としては、賃金の3か月分から1年6か月分程度です

パッケージというのは、解雇通知を行う前に、労働者に任意に退職に応じてもらうために支払われる退職条件のことをいいます。

法律上、パッケージの支払い義務などが定められているわけではありませんが、紛争化することを避けるために一定の支払いを行う企業も多いのです

例えば、勤続年数×1か月分等のルールによりパッケージを算定する企業も多いです。

とくに、レイオフの場合には、労働者に落ち度のない、会社側の原因による退職となりますので、少し大きめのパッケージが提案されることも珍しくありません

外資系企業のパッケージについては、以下の記事で詳しく解説しています。

6章 日本でレイオフされた場合の対処法

外資系企業からレイオフされてしまった場合であっても、生活やキャリアを守るためには、焦らずに冷静に対処していく必要があります

企業側は、労働者が退職する前提で手続きを進めてくる傾向にあります。労働者が声を上げずにいると企業側の思うツボになってしまうのです。

具体的には、日本でレイオフされた場合の対処法としては、以下の4つです。

対処法1:安易に退職に応じない
対処法2:弁護士に相談する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判又は訴訟を提起する

日本でレイオフされた場合の対処法

それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。

6-1 対処法1:安易に退職に応じない

日本でレイオフされた場合の対処法の1つ目は、安易に退職に応じないことです

一度、退職に応じてしまうと、後から撤回することは容易ではなく、退職条件の交渉を行うことも困難になってしまいます。

企業は、労働者が退職に合意した時点で目的を達成してしまうためです。退職の合意は、退職届や退職合意書にサインしなくても、口頭でも成立するので注意が必要です

実は、企業から退職するように言われてパニックになってしまい、退職を認めるような発言をしてしまう方が非常に多いのです。

6-2 対処法2:弁護士に相談する

日本でレイオフされた場合の対処法の2つ目は、弁護士に相談することです

レイオフの対象とされた際にどのように対処していくかについては、見通しやリスクを分析したうえで、慎重に判断する必要があります。

レイオフに対応していく際には、方針を決めたうえで、一貫した対応していく必要があるためです

この分野については専門性が非常に高いため、外資系企業のパッケージ交渉を専門的に扱っている弁護士に相談するといいでしょう。

6-3 対処法3:交渉する

日本でレイオフされた場合の対処法の3つ目は、交渉することです

方針を決めたら話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか企業と協議することになります。

弁護士から企業に対して通知書を送付してもらい、以後のやり取りは弁護士をとおすように伝えましょう

交渉の方法については、電話やオンライン、対面など様々ですので、状況に応じて適切な方法を選択することになります。

6-4 対処法4:労働審判又は訴訟を提起する

日本でレイオフされた場合の対処法の4つ目は、労働審判又は訴訟を提起することです

解雇を通知された後、話し合いによる解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた解決を検討します。

労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。

労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。

訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。

7章 外資系企業をレイオフされたらリバティ・ベル法律事務所にお任せ!

外資系企業をレイオフされたら、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください

この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります

リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。

解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。

解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)

また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料完全成功報酬としております。

初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

8章 まとめ

以上のとおり、今回は、日本ではレイオフできないのかについて説明したうえで、日本の法律とレイオフが違法となる例4つを解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

 

“まとめ”

・日本の外資系企業でレイオフという場合には、リストラや整理解雇と同様の意味で用いられる傾向にあります。

・日本でも、業績悪化などを理由にレイオフを行うこと自体は、可能です。

・日本ではレイオフ自体を規制した法律があるわけではありません。労働契約法の解雇権濫用法理により規制されることになります。

・日本でレイオフが違法となりやすい例としては、以下の4つがあります。
例1:人員削減の必要性がないケース
例2:解雇回避努力が尽くされていないケース
例3:恣意的に対象者が選ばれているケース
例4:十分に説明等がされていないケース

・日本でレイオフが行われる際のパッケージの相場としては、賃金の3か月分から1年6か月分程度です。

・日本でレイオフされた場合の対処法としては、以下の4つです。
対処法1:安易に退職に応じない
対処法2:弁護士に相談する
対処法3:交渉する
対処法4:労働審判又は訴訟を提起する

 

この記事が日本でレイオフの対象とされてしまい困っている外資系企業の労働者の方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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