退職合意書は拒否できる!拒否権とサインしない簡単な手順4つを解説

退職合意書は拒否できる! 平均期間と 早期退職時の給与や退職理由

退職合意書は拒否できる!拒否権とサインしない簡単な手順4つ

退職合意書を拒否していいのかどうか悩んでいませんか

外資系企業から、突然、退職合意書(separation agreement)を交付されて、いつまでにサインするようにと迫られても、躊躇してしまうのは当然のことです。

退職合意書は、拒否することができます

退職合意書を拒否する理由としては、「働き続けたい」、「退職条件に納得できない」のいずれかとなります。

退職合意書にサインしてしまうと退職日をもって退職の効力が生じることになり、撤回や取り消しは容易ではなく、後から退職条件等の交渉を行うことも難しくなります。

退職合意書を拒否するかを検討する際には以下のような事項をチェックするべきです。

チェック事項1:退職日
チェック事項2:ガーデンリーブ
チェック事項3:特別退職金(解決金)
チェック事項4:退職理由(会社都合退職)
チェック事項5:未払い残業代の有無
チェック事項6:有給の買取の有無
チェック事項7:アウトプレースメント(再就職支援)
チェック事項8:秘密保持義務(守秘義務)・誹謗中傷の禁止
チェック事項9:競業避止義務

退職合意書を拒否する際には、退職合意書を一度持ち帰り、弁護士に交渉を依頼した後、証拠を保全し、退職を拒否又は退職条件を交渉するという手順がおすすめです。

実は、私が多くの外資系企業の退職勧奨問題の相談を受ける中で、既に退職合意書にサインしてしまったという方からお問い合わせをいただくこともあり、対応が難しく悔しい思いをすることがあります

この記事をとおして、外資系企業で働く従業員の方に退職合意書の拒否についての正しい知識を知っていただければ幸いです。

今回は、退職合意書は拒否できることを説明した上で、チェック事項やサインしない簡単な手順4つを解説していきます。

この記事を読めば、退職合意書を拒否するにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。

退職勧奨をされた場合のNG行動については、以下の動画でも詳しく解説しています。

1章 退職合意書は拒否できる!労働者の拒否権

退職合意書は拒否できる

退職合意書は、拒否することができます

外資系企業から従業員に対して退職合意書を交付するのは、通常、退職勧奨の一環です。

退職勧奨は、あくまでも労働者の自発的な退職を促すものであり、企業は、労働者の自由な退職意思の形成を妨げてはいけないのです

例えば、労働者が明確に拒否しているのに何度も退職勧奨を行うことは許されません。

また、労働者が退職勧奨を拒否したからと言って、暴言や暴力を働いたり、これを理由として不利益措置を講じたりすることも許されません。

そのため、退職合意書を示されたとしても、労働者には拒否権があり、これにサインしないことも自由なのです。

2章 退職合意書を拒否する2つの理由

退職合意書を拒否したいと考えことには、理由があるはずです

細かい理由を挙げれば様々なパターンがありますが、大別すると、退職合意書を拒否する理由は以下の2つです。

理由1:働き続けたい
理由2:退職条件に納得できない

退職合意書を拒否する二つの理由
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。

2-1 理由1:働き続けたい

退職合意書を拒否する理由の1つ目は、働き続けたいためです

今の企業で働き続けたいと考えていて退職したくないため、退職合意書にサインしたくないという方がいます。

年齢が55歳を超えていて転職が難しいという場合、外国本社から退職勧奨をされているものの日本法人内での人間関係は良好である場合などです。

これらの場合には、退職合意書を拒否したいと考えることになります。

2-2 理由2:退職条件に納得できない

退職合意書を拒否する理由の2つ目は、退職条件に納得できないためです

退職してしまうと、その後は、お給料が支払われなくなり、転職先が決まっていないと無職になってしまいます。

退職後の生活やキャリアが十分に補償されていない限りは、退職に応じたくないと考えるのは当然のことです。

例えば、適正な特別退職金やガーデンリーブが提案されないような場合には、生活やキャリアに不安が残ることになります。

このような場合には、退職合意書を拒否したいと考えることになります。

3章 退職合意書の法的効力|撤回は簡単ではない

退職合意書にサインしてしまうと、退職日をもって退職の効力が生じることになってしまいます

退職合意書については、先に会社側のサインがされていることが多いので、労働者がこれにサインをしてしまうと、後から撤回をすることも難しくなります。

また、詐欺や脅迫、錯誤等により取り消しを行うことも、容易なことではありません。

企業は、労働者が退職合意書にサインした後は、労働者が退職条件の交渉を行いたいと申し出ても、これに応じることはありません

退職合意書にサインしてもらった時点で企業は目的を達成することになり、それ以上、交渉を行う必要がなくなるためです。

そのため、退職合意書へのサインを行う際には、慎重に行わなければならないのです。

4章 退職合意書を拒否するか検討する際のチェック事項9つ

退職合意書を拒否するかどうかは、よく検討して決めることになります

例えば、退職合意書を拒否するかを検討する際には、次のような事項をチェックします。

チェック事項1:退職日
チェック事項2:ガーデンリーブ
チェック事項3:特別退職金(解決金)
チェック事項4:退職理由(会社都合退職)
チェック事項5:未払い残業代の有無
チェック事項6:有給の買取の有無
チェック事項7:アウトプレースメント(再就職支援)
チェック事項8:秘密保持義務(守秘義務)・誹謗中傷の禁止
チェック事項9:競業避止義務

それでは、各チェック事項について順番に説明していきます。

4-1 チェック事項1:退職日

チェック事項の1つ目は、退職日です

退職日後は、籍を失ことになりますので、転職先が決まっていなければキャリア上のブランクが空いてしまうことになります。

転職先が決まるまでの十分な期間が確保されているかを確認します。

4-2 チェック事項2:ガーデンリーブ

チェック事項の2つ目は、ガーデンリーブです

ガーデンリーブとは、在籍期間を延長し、その期間の就労を免除したうえで、給与の支給を行うことです

最終出勤日から退職日まで期間を設けることで、キャリア上のブランクを防ぐことができます。

就労を免除してもらい、給与の支給を受けることができますので、転職活動に集中することもできます。

退職合意書を確認する際には、十分なガーデンリーブ期間が確保されているかを確認するといいでしょう。

ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。

ガーデンリーブについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

4-3 チェック事項3:特別退職金

チェック事項の3つ目は、特別退職金です

特別退職金とは、通常の退職金に加えて、退職に応じる対価等として支給される退職金のことです

特別退職金の相場は、勤続年数×1か月分程度とされていますが、とくに決まりはなく、賃金の3か月分~1年6か月分程度で交渉されます。

適正な特別退職金額については、以下のパッケージチェッカーで無料かつ登録不要で簡単に確認することができます。

【パッケージ(特別退職金)チェッカー】妥当なパッケージ金額を簡単無料診断|リーガレット (legalet.net)

特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。

特別退職金については、以下の動画でも詳しく解説しています。

4-4 チェック事項4:退職理由(会社都合退職)

チェック事項の4つ目は、退職理由です

退職勧奨により退職する場合には、離職理由は、会社都合退職とされることになります。

退職合意書上の離職理由が、自己都合とされていないか等を確認することになります。

退職勧奨の退職理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。

4-5 チェック事項5:未払い残業代の有無

チェック事項の5つ目は、未払い残業代の有無です

外資系企業であっても、残業をした従業員に対して、残業代を支払わなければいけないのは、日本の企業と同じです。

しかし、外資系企業は、マネージャー職だから、年俸制だから、Base salaryに含まれているからなどとの理由で、残業代の支給をしていないことがよくあります。

このような言い分は法的には認められないこともあり、確認してみると未払いの残業代があるケースが多いのです。

未払いの残業代がある場合には退職条件の交渉を行う際に併せて交渉しておくようにしましょう。

退職合意書には、合意後は他に一切の請求を行わないこと等を確認する条項を入れることが通常だからです。

外資系企業の残業代については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-6 チェック事項6:有給の買取の有無

チェック事項の6つ目は、有給の買取の有無です

労働者は、退職する場合には、有給をすべて消化したうえで退職したいと考えるのが通常です。

一方で、退職日以降は有給を使うことができませんので、企業からは、有給の買い取りを提案されることが多いです。

有給の買い取りについては、以下の記事で詳しく解説しています。

有給の買い取りについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

4-7 チェック事項7:アウトプレースメント(再就職支援)

チェック事項の7つ目は、アウトプレースメント(再就職支援)です

アウトプレースメントとは、従業員が会社の都合により退職する際に、会社が外部企業に委託し再就職を支援することです

アウトプレースメントとは何かについては、以下の記事で詳しく解説されています。

アウトプレースメントについては、以下の動画でも詳しく解説されています。

4-8 チェック事項8:秘密保持義務(守秘義務)・誹謗中傷の禁止

チェック事項の8つ目は、秘密保持義務(守秘義務)・誹謗中傷の禁止です

秘密保持義務とは、正当な理由のない限り、交渉の経緯や合意の内容を第三者に言わないことです

誹謗中傷の禁止とは、文字通り、誹謗中傷しないことを約束することです。当たり前のことを明記して確認するものです。

これらについて、企業側は、労働者側のみの義務として規定してくることが多いですが、企業側も同時に義務を負うべきものですので、双方の義務となっているかを確認しましょう。

4-9 チェック事項9:競業避止義務

チェック事項の9つ目は、競業避止義務です

競業避止義務とは、競業する企業の経営を行うこと、競業する企業へ就職すること等を避ける義務です

今後のキャリアにも関わってしまう事項となりますので、競業避止を課されていないか確認しておくようにしましょう。

5章 簡単にサインしない!退職合意書を拒否する手順

退職合意書へのサインを求められても、焦らずに冷静の対処するようにしましょう

一度、退職合意書にサインしてしまうと、取り返しがつかない事態になってしまうことも多いためです。

退職条件等の交渉を行う場合にも、その一挙手一投足が結果に影響していくことになります。

退職合意書を拒否する際の手順は、以下のとおりです。

手順1:退職合意書を一度持ち帰る
手順2:弁護士に交渉を依頼する
手順3:証拠を保全する
手順4:退職を拒否又は退職条件を交渉する

退職合意書を拒否する手順

それでは、各手順について順番に説明していきます。

5-1 手順1:退職合意書を一度持ち帰る

退職合意書を拒否する際の手順の1つ目は、退職合意書を一度持ち帰ることです

退職合意書を示されて、その場ですぐに正しい判断を行うことは不可能です

他方で、その場で退職合意書にサインをしてしまうと、それ以上の交渉が難しくなってしまい大きな不利益を被ることになります。

また、適切な方針の検討等を十分に行うことなく、その場で適当な交渉を行ってしまうと、結論に大きく影響してしまいます。

そのため、聞きに徹して、こちらからは「専門家に相談したいので、一度持ち帰らせてください」とだけ伝えて、帰りましょう。

5-2 手順2:弁護士に交渉を依頼する

退職合意書を拒否する際の手順の2つ目は、弁護士に交渉を依頼することです

正確な見通しとリスクの分析をしたうえで、方針を検討することが不可欠だからです。

外資系企業の退職勧奨の対応については、豊富な経験がないと、企業側がどのようなアクションをしてきて、労働者の行動が結果にどのような影響を及ぼすかについて判断できません

また、法的なリスクの分析が不十分ですと、退職勧奨を拒否した結果、より不利な状況に追い込まれてしまうケースもあります。

自分の望む解決をするためには、拒否する際の態度や温度感についても、法的な検討を尽くしたうえで決める必要があります

そのため、外資系企業の退職勧奨の交渉は弁護士に依頼するべきなのです。

5-3 手順3:証拠を保全する

退職合意書を拒否する際の手順の3つ目は、証拠を保全することです

十分な証拠を集めることができているかどうかというのは、交渉力に大きく影響していきます。

十分な証拠を集めることができていれば、仮に解雇されたとしても、その解雇を争っていくことが可能となりますので、強気な交渉をしていくことが可能となります

一方で、退職勧奨をされた場合には、企業からロックアウトされてしまい、貸与PCやスマートフォンへのアクセスなども出来なくなってしまうことも珍しくありません。

就業規則の確認や給与明細のダウンロードさえも難しくなってしまうこともあります。

そのため、退職合意書を拒否する際には、早めに証拠を保全しておくべきです

ただし、事案に応じて集めるべき証拠が異なってきますので、弁護士に必要な証拠や収集方法について助言してもらうといいでしょう。

5-4 手順4:退職を拒否又は退職条件を交渉する

退職合意書を拒否する際の手順の4つ目は、退職を拒否又は退職条件を交渉することです

適切な方針を立てて、証拠を集めたら、退職を拒否するか、あるいは、退職条件の交渉を行っていきましょう。

退職を拒否する際には、退職には応じられない旨を端的に伝えれば足ります。執拗に退職を迫られるようであれば、メールやチャットなど形に残る方法で断るといいでしょう。

退職条件の交渉を行う際には、その方法や態様等について十分に吟味したうえで、事案に応じて慎重に行うことになります。

6章 外資系企業の退職勧奨対応はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!

外資系企業の退職勧奨対応は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください

この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。

リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。

また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料完全成功報酬としております。

初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

7章 まとめ

以上のとおり、今回は、退職合意書は拒否できることを説明した上で、チェック事項やサインしない簡単な手順4つを解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・退職合意書は、拒否することができます。

・大別すると、退職合意書を拒否する理由は以下の2つです。
理由1:働き続けたい
理由2:退職条件に納得できない

・退職合意書にサインしてしまうと退職日をもって退職の効力が生じることになり、撤回や取り消しは容易ではなく、後から退職条件等の交渉を行うことも難しくなります。

・退職合意書を拒否するかを検討する際には以下のような事項をチェックするべきです。
チェック事項1:退職日
チェック事項2:ガーデンリーブ
チェック事項3:特別退職金(解決金)
チェック事項4:退職理由(会社都合退職)
チェック事項5:未払い残業代の有無
チェック事項6:有給の買取の有無
チェック事項7:アウトプレースメント(再就職支援)
チェック事項8:秘密保持義務(守秘義務)・誹謗中傷の禁止
チェック事項9:競業避止義務

・退職合意書を拒否する際の手順は、以下のとおりです。
手順1:退職合意書を一度持ち帰る
手順2:弁護士に交渉を依頼する
手順3:証拠を保全する
手順4:退職を拒否又は退職条件を交渉する

この記事が退職合意書を拒否できるか悩んでいる外資系企業の従業員の方の助けになれば幸いです。

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