退職勧奨では条件交渉できる?相場や退職金と交渉方法【弁護士解説】

退職勧奨では条件交渉できる?相場や退職金と交渉方法【弁護士解説】

退職勧奨をされたら条件を交渉できます

会社は労働者の無知に付け込んで、適正な補償を提示せず退職を迫ってくることが少なくありません。

特別退職金やガーデンリーブ、有給の買い取りなど獲得すべき退職条件は多岐にわたります。

退職条件の相場は、賃金の3か月分~24か月分程度と幅があります。

安易に退職合意書にサインしないのは勿論ですが、方針を決める前に迂闊な発言や態様、提案などをしないようにしましょう

今回は、退職勧奨では条件交渉できるかを説明したうえで、相場や退職金と交渉方法を解説します。

この記事を読めば、外資系企業から退職勧奨をされた際にどのように交渉すればいいのかがよくわかるはずです。

退職勧奨における条件交渉については、以下の動画でも詳しく解説しています。

目次(contents)

1章 退職勧奨では条件交渉ができる

会社から退職を勧められた際、労働者は会社に対して退職のための条件を自由に交渉することができます

退職勧奨はあくまで会社からの一方的な「お願い」に過ぎず、労働者がそれに応じる義務はないため、納得できる対価を求める権利があるからです。

もし会社側の提示に納得がいかないまま辞めてしまうと、その後の生活が苦しくなったり、不当な扱いを受けたという後悔が残ったりするかもしれません。

1-1 退職勧奨は契約交渉なので話し合いが可能

会社から退職を促されたとしても、それは法律上の「解雇」とは異なり、お互いの合意で契約を終わらせるための話し合いの場です

会社が一方的に決めることではなく、双方が納得したときだけ退職が成立することになります。

例えば、会社が提示した退職日に納得がいかない場合に、再就職先が決まるまで退職日を遅らせてもらったり、金銭的な補償を上乗せしてもらったりするように求めることができます。

このように、退職勧奨は対等な立場で話し合いをすることができるのです

1-2 労働者の将来を守るために交渉は不可欠

退職勧奨を受けたときに条件交渉を行うことは、自分自身の将来の生活を守るために重要です

会社側はできるだけコストを抑えようとして、労働者が本来受け取れるはずの補償をあえて伝えないまま退職を迫ってくるケースも少なくないからです。

例えば、十分な知識がないまま書類にサインをしてしまうと、後から「もっと退職金をもらえたはずだ」と気づいても、取り消すことが難しくなってしまいます。

生活やキャリアを守るためには、会社側の言いなりにならず、自分にとって有利な条件を一つずつ積み上げていく交渉が必要不可欠です。

2章 退職勧奨で交渉すべき退職条件

退職に応じる際に検討すべき条件は、単なるお金の問題だけでなく、再就職のしやすさや生活の安定などもあります

会社から提示された条件以外にも、労働者側から提案できる有利な項目がたくさんあることを知っておきましょう。

例えば、退職勧奨で交渉すべき退職条件には、以下のような事項があります。

条件1:特別退職金(severance pay)
条件2:ガーデンリーブ
条件3:有給買い取り
条件4:会社都合退職
条件5:アウトプレースメント
条件6:口外禁止・誹謗中傷の禁止
条件7:リファレンスチェックへの協力

それでは、それぞれの具体的な内容について順番に見ていきましょう。

2-1 条件1:特別退職金(severance pay)

退職勧奨に応じる際の最も大きな柱となるのが、通常の退職金に加算される特別退職金の交渉です

退職を承諾してもらうための対価としての性質を持っており、これを受け取ることで失業期間中の無収入のリスクを補うことができます。

例えば、月給の数ヶ月分から、場合によっては1年分以上の金額を上乗せしてもらうように交渉するケースもあります。

特別退職金の額をしっかりと確保しておくことで、心に余裕を持って再就職活動に専念できるようになります

特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。

2-2 条件2:ガーデンリーブ

退職日までの間、出勤を免除されながら給料を受け取れるガーデンリーブ(自宅待機期間)を交渉することも多いです

給料をもらいながら籍を残して転職活動ができるため、ブランクなく転職しやすくなります。

例えば、退職日までの3ヶ月間をガーデンリーブとし、その間は自由に面接に行ったり履歴書を書いたりする時間として活用できます。

この期間を確保することで、給与の心配をせずに集中して次のキャリアを探すことができます

ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。

2-3 条件3:有給買い取り

残っている有給休暇を消化しきれない場合には、その分を会社に買い取ってもらう交渉をしましょう

本来、有給休暇は休むための権利ですが、退職が決まっている場合には特例として金銭で精算することが認められる場合が多く、未消化のまま捨てるのはもったいないからです。

例えば、残っている20日分の有給休暇を日給換算して退職金に上乗せしてもらったり、退職日を調整して実質的な手取り額を増やしたりする方法があります。

有給休暇を適切に処理してもらうことで、労働の対価を最後まで余さず受け取ることができます。

退職時の有給買い取りについては、以下の記事で詳しく解説しています。

2-4 条件4:会社都合退職

離職票の退職理由を「自己都合」ではなく「会社都合」にしてもらいます

退職勧奨により離職する場合には、会社都合による退職として処理することとされたるためです。

当然のことではありますが、念のため、条件がまとまったら最後に会社都合とすることを確認しておくことになります。

2-5 条件5:アウトプレースメント

会社側からアウトプレースメントサービスの提示があったら、あえて断る理由まではありません

アウトプレースメントサービスというのは、再就職支援サービスのことです。

ただし、コンサル的な側面が強いので転職に慣れているような方は、期待しすぎないようにしましょう

なお、退職合意書にサインする前にこのサービスを利用する場合には不利になってしまいかねないので注意しましょう。

アウトプレースメントサービスについては、以下の記事で詳しく解説しています。

2-6 条件6:口外禁止・誹謗中傷の禁止

会社側から求められることが多いですが、口外禁止や誹謗中傷禁止は、労働者自身を守る条項となります

会社から悪評を広められリスクを低減できます。

2-7 条件7:リファレンスチェックへの協力

転職活動におけるリファレンスチェックなどへの協力といった条件を獲得することもあります

このような条件を獲得するにあたっては、条項や交渉を工夫する必要があるでしょう。

3章 退職勧奨における条件の相場|3~24か月分

退職勧奨で提示される条件には、月収の3ヶ月分から24ヶ月分程度という一定の相場があります

会社がどれだけ早く辞めてほしいと考えているか、労働者側にどれだけ非がないかによって、提示される金額が変わってきます。

また、長年勤めてきた方や高齢で転職が難しい方には、大きな金額が提示されることもあります。

退職勧奨の条件については交渉事であり、法律で決められた金額あるわけではありませんので、最終的には、交渉力によって大きく金額が左右されることになります

例えば、会社側から退職条件が2か月分程度しか提示されていなかった場合でも、適切に交渉していくことで1年分の条件を獲得できるということもあります。

ただし、必ずしも大きい金額を目指せばいいというものでもなく、事案に応じて適正な金額を見極めたうえで、方針を立てていくべきです。

4章 退職勧奨で条件交渉をする方法

退職勧奨を受けた際に、自分にとって有利な条件を引き出すためには、戦略的に交渉を進めることが非常に重要です

会社側は交渉のプロである人事担当者などが対応してくることが多いため、こちら側も感情的にならず、法的な知識に基づいた適切な手順を踏む必要があるからです。

正しい交渉方法を知っておくことで、会社からの不当なプレッシャーに負けることなく、対等な立場で自分の主張を伝えることができます。

例えば、退職勧奨で条件交渉をする手順は以下のとおりです。

手順1:安易に退職合意書にサインしない
手順2:弁護士に相談する
手順3:有利な事情や主張を整理する
手順4:労働審判や訴訟を提起する

4-1 手順1:安易に退職合意書にサインしない

会社から退職を求められた際、最も大切なのは、その場ですぐに退職合意書などの書類にサインをしないことです

一度サインをしてしまうと、後から内容に不満があったとしても「お互いに納得して退職した」として、条件の変更や取り消しを求めることが非常に難しくなるからです。

会社から「今日中に決めてほしい」と急かされたり、サインをしないと不利益があるような言い方をされたりしても、焦らないことが大切です。

4-2 手順2:弁護士に相談する

会社との交渉を始める前に、まずは退職勧奨やパッケージ交渉に詳しい弁護士に相談することをおすすめします

良い解決をするには法的な見通しを分析したうえで一貫した対応していく必要があるためです。

法律の専門家からアドバイスを受けることで、自分の置かれた状況が法的に見て有利なのか、どのような条件を求めるのが妥当なのかを客観的に判断できるようになるからです。

弁護士という心強い味方を得ることで、一人で悩んだり会社側のペースに巻き込まれたりすることなく、冷静に交渉を進められるようになります。

4-3 手順3:有利な事情や主張を整理する

交渉を有利に進めるためには、自分にとってプラスになる事情や会社側の非を論理的に整理しておく必要があります

ただ「お金を増やしてほしい」と言うよりも、具体的な根拠を示したほうが、会社側も納得して条件の上乗せに応じやすくなるからです。

会社側が退職勧奨をしてきている事情を確認したうえで、判例が重視している事情を踏まえ具体的な根拠となる事実を整理していきましょう。

そのうえで、法的な見通しに基づいて適切に説得していく必要があります。

4-4 手順4:労働審判や訴訟を提起する

交渉がまとまらず、会社が解雇を強行してくる場合には、労働審判や訴訟など裁判所を用いた解決を検討しましょう

労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。

労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。

訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。

不当解雇の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。

5章 退職勧奨で条件交渉を行う場合の注意点

退職勧奨の条件交渉を進める際には、自分の振る舞いや発言に細心の注意を払う必要があります

不用意な一言や態度の変化が、交渉を不利にしてしまう恐れがあるからです。

例えば、退職勧奨で条件交渉を行う場合の注意点としては、以下の3つがあります。

注意点1:迂闊な発言や態様が命とりになる
注意点2:方針を決めるまでは回答や提示をしない
注意点3:交渉を急がず普段通りにしている

それでは、これらの注意点を順番に見ていきましょう。

5-1 注意点1:迂闊な発言や態様が命とりになる

会社との面談の場では、感情的になったり不用意に退職を認めるような発言をしたりしないように気をつけましょう

退職届や退職合意書にサインをしなくても、口頭や態様でも退職は成立することになります。

働く意欲が弱い労働者に対して会社側が良い条件を提示する理由もなくなります

何も留保をせずに引き継ぎを行ったり、貸与品を返還したりする場合も、同様です。

退職の挨拶などをして交渉が難しくなってしまっている方をよく見ます。

5-2 注意点2:方針を決めるまでは回答や提示をしない

自分がどのような条件で着地させたいのかという方針が固まるまでは、具体的な回答や希望条件の提示を控え、聞きに徹しましょう

一度こちらから「これくらいの金額なら辞める」と提案してしまうと、それが交渉の「上限」になってしまい、それ以上の条件を引き出すことが難しくなるからです。

例えば、会社から提示された案に対して「検討します」とだけ伝えたり、詳しい回答を保留にしたりして時間を稼ぐことが考えられます。

しっかりと専門家と相談して戦略を練り、自分にとって最も有利な着地点を見極めてから具体的な数字を出すようにしましょう。

5-3 注意点3:交渉を急がず普段通りにしている

条件交渉については、焦って結論を急がず、職場では普段通りに業務をこなす姿勢を見せましょう

交渉事となりますので、時間に余裕があり、現状に困っていない者の方が強いのです。

逆に、退職勧奨を受けて、焦っていたり、働く意欲が弱まっていたりすると、会社の思う壺となります。

6章 退職勧奨の条件交渉を弁護士に依頼すべき理由

退職勧奨の条件交渉を有利に進めるためには、自分一人で抱え込まずに弁護士へ依頼することをおすすめします。

その理由は、以下の3つです。

理由1:対等な立場で交渉できる
理由2:交渉を任せることができる
理由3:法的な見通しを踏まえ適切な方針を立ててもらえる

それでは、弁護士に依頼すべき理由について順番に見ていきましょう。

6-1 対等な立場で交渉できる

弁護士を代理人に立てることで、会社側と対等な立場で話し合いに臨むことができます

会社は労働者が法律に詳しくないことを見越して強気な態度に出ることがありますが、弁護士が介入することで、会社側も安易に不当な提示ができなくなるからです。

例えば、これで応じないのであれば解雇するなどと脅してきても、弁護士が反論してくれます。

会社側は、あの手この手で、金額を下げたり、退職させたりしようとしてきますが、都度、弁護士に相談しながら、対応してもらうことが可能です。

6-2 交渉を任せることができる

弁護士に依頼すれば、会社との直接のやり取りをすべて任せられるため、精神的な負担を劇的に減らすことができます

退職勧奨を受けている最中は、会社の人事担当者と顔を合わせたり、電話で厳しいことを言われたりするだけで強いストレスを感じてしまうものだからです。

自宅にいながら弁護士を通じて交渉の経過報告を受けたり、必要書類のやり取りを代行してもらったりすることで、平穏な日常を取り戻すことができます。

6-3 法的な見通しを踏まえ適切な方針を立ててもらえる

弁護士は、過去の裁判例や豊富な実務経験をもとに、その事案において最も有利な落とし所を的確に判断してくれます

どれくらいの金額を請求するのが妥当なのか、あるいは裁判に訴えた場合にどのような結果が予想されるのかという見通しを立てた上で交渉を進めてもらえます。

早期に解決金を受け取って退職したほうが得なのか、あるいは徹底的に争って復職を目指したり、より高額な補償を求めたりすべきなのかといった難しい判断を、プロの視点からサポートしてもらえます。

法的な見通しに基づいた方針を立てることで、迷いや後悔のない解決を目指すことが可能になります。

7章 退職勧奨の条件交渉でよくある疑問

退職勧奨の条件交渉でよくある疑問としては、以下の5つがあります。

Q1:退職日は調整できる?
Q2:退職勧奨の条件交渉が決裂したら?
Q3:退職勧奨で上乗せされた解決金に税金はかかる?
Q4:解雇にしてくださいと言ってもいい?
Q5:会社から明日までに決めてくださいと言われたら?

これらの疑問を順番に解消していきましょう。

7-1 Q1:退職日は調整できる?

A.はい、退職日は会社との話し合いで自由に調整できます

退職勧奨は合意に基づくものなので、労働者側からも希望を出す権利があるからです。

例えば、再就職先が決まるまで退職日を数ヶ月先に延ばしたり、有給休暇をすべて消化しきれる日程に設定したりするように交渉することが可能です。

7-2 Q2:退職勧奨の条件交渉が決裂したら?

A.会社側が法的なアクションをしてこなければ、そのまま会社に残って働き続けることができます

事案に応じて想定される会社のアクションやリスクは異なりますので、事前によく弁護士に相談するのがいいでしょう。

7-3 Q3:退職勧奨で上乗せされた解決金に税金はかかる?

A.上乗せされた金銭の性質によりますが、通常、特別退職金との名目で退職所得として処理されることが多いです

住民税と所得税が厳選されますが、給与所得よりも節税効果が高い傾向にあります。

ただし、最終的には実態により税務署が判断することになります。

7-4 Q4:解雇にしてくださいと言ってもいい?

A.自分から「解雇にしてほしい」と言うのは避けたほうが無難です

労働者から解雇してほしいというと、後から不当性を争いにくくなることもあるためです。

7-5 Q5:会社から明日までに決めてくださいと言われたら?

A.応じる義務はありません

退職勧奨に応じるかどうかは労働者の自由だからです。

ただし、事案により会社側の提示にメリットがある場合もありますので、回答期限までに弁護士に相談しておいた方が良いでしょう。

会社側は、期限が過ぎれば提案を撤回することができるためです。

8章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!

外資系企業の解雇は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください

この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

本採用拒否の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。

リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています

解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。

解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)

また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料完全成功報酬としております。

初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

9章 まとめ

以上のとおり、今回は、退職勧奨では条件交渉できるかを説明したうえで、相場や退職金と交渉方法を解説しました。

この記事が外資系企業から退職勧奨をされて条件を交渉したいと考えている方の助けになれば幸いです。

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