退職勧奨の解決金なし!?相場と増額交渉の方法4つ|税金にも要注意
外資系企業から退職勧奨をされているものの、解決金に不満を感じていませんか?
いきなり退職勧奨をされて、次の職も決まっていない状況であれば、少しでも生活を補償してほしいと考えるのは当然のことですよね。
退職勧奨の解決金とは、退職勧奨に応じる対価のことで、正確には特別退職金といいます。
外資系における退職勧奨の解決の相場は、賃金の3か月分~1年6か月分程度です。
企業側が退職勧奨の際に解決金なしとすることも違法ではありませんが、労働者としても納得できなければ退職勧奨を拒否することができます。
退職勧奨の解決金の増額交渉の方法としては、以下の4つがあります。
方法2:働く意思が強いことを示す
方法3:退職条件が決まるまで転職活動をしない
方法4:弁護士に交渉を依頼する
退職勧奨の解決金については、特別退職金としての名目で支給され、税務上は退職所得として処理されるのが一般的であり、税金は源泉されます。
実は、適正な退職勧奨の解決金を取得するには、正しい対応を行う必要がありますが、安易な発言や対応によって、交渉が困難となってしまう方が少なくありません。
この記事をとおして、少しでも多くの外資系労働者の方に退職勧奨の解決金についての正しい知識を知っていただければ幸いです。
外資系企業における退職勧奨のパッケージについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
この記事を読めば、適正な退職勧奨の解決金を獲得するためにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次(contents)
1章 退職勧奨の解決金とは|退職勧奨に応じる対価(特別退職金)
退職勧奨の解決金とは、退職勧奨に応じる対価のことで、正確には特別退職金といいます。
退職勧奨とは、企業が労働者に対して、自主的に退職することを促すものです。
退職勧奨について、あくまでも労働者の自発的な退職を促すものにすぎず、労働者はこれを断ることができます。
そのため、企業は、労働者に退職に応じてもらうための説得の材料といて、解決金(特別退職金)を提案してくることがあるのです。
解決金(特別退職金)は、退職金制度に基づく通常の退職金とは異なるものですので、退職金規程がない企業でも支給されることがあります。
退職金制度がある企業では、通常の退職金に上乗せして、解決金(特別退職金)の支払いが提案されることになります。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
特別退職金については、以下の動画でも詳しく解説しています。
2章 外資系における退職勧奨の解決金相場|賃金の3か月分~1年6か月分程度
外資系企業における退職勧奨の解決金の相場は、賃金の3か月分~1年6か月分程度です。
退職勧奨の解決金については、法的にいくらを提案しなければいけない等の決まりがあるわけではありません。
あくまでも実務上の相場あるのみとなります。
外資系企業は、勤続年数を基準として、勤続年数×1か月分程度の金額を提案してくる傾向にあります。
しかし、相場にすぎませんので、交渉力次第で相場以上の金額を獲得できることも多いですし、外資系企業では1年分以上の金額が支払われるケースも珍しくありません。
例えば、特別退職金(パッケージ)金額が決まるより具体的な視点を列挙すると以下のとおりです。
視点2:勤続年数がどの程度か
視点3:残業代等の未払い賃金があるか
視点4:外資系企業本土の慣習
視点5:外国本社の意思が強固か
視点6:業務に応じることが可能か
視点7:貯金がどの程度あるか
視点8:今後の再就職等が決まっているか
3章 退職勧奨の解決金なしは違法?解決金なしへの対処法
企業側が退職勧奨の際に解決金なしとすることも、違法ではありません。
解決金(特別退職金)の提案は法的義務にではなく、あくまでも労働者を説得する材料として提案されるにすぎないためです。
外資系の企業ではあまり多くないですが、日系の中小企業などは、解決金(特別退職金)も提案せずに強硬的な退職勧奨を行ってくることも珍しくありません。
実際、退職勧奨で解決金の提案がされていなくても、よくわからずに退職届にサインしてしまう労働者の方が一定数います。
しかし、労働者としても、納得できなければ退職勧奨を拒否することができます。
例えば、企業側から解決金(特別退職金)なしに退職勧奨をされた場合には、私にも生活がありますので退職したくないですと回答すればいいことになります。
ただし、退職勧奨の拒否にはリスクも伴いますので、十分に見通しを分析したうえで方針を検討する必要があります。一度持ち帰り弁護士に相談するといいでしょう。
4章 退職勧奨の解決金の増額交渉の方法4つ
退職勧奨をされた場合に適正な解決金を獲得するためには、労働者としても正しく対応をする必要があります。
安易な発言や対応をしてしまうと、解決金の交渉を行うこと自体、困難となってしまうことがあります。
具体的には、退職勧奨の解決金の増額交渉の方法としては、以下の4つがあります。
方法2:働く意思が強いことを示す
方法3:退職条件が決まるまで転職活動をしない
方法4:弁護士に交渉を依頼する
それでは、退職勧奨の解決金の交渉方法について1つ1つ順番に説明していきます。
退職勧奨された場合のNG行動と正しい対処法は、以下の動画でも詳しく解説しています。
4-1 方法1:解雇の理由がないことを示す
退職勧奨の解決金の交渉方法の1つ目は、解雇の理由がないことを示す方法です。
解雇の理由がない場合において、労働者に退職してもらうためには、労働者に退職に同意してもらうほかありません。
企業は、理由がないのに解雇を強行すれば、不当な解雇として、退職勧奨の解決金以上の金額を支払わなければいけなくなってしまうリスクがあるためです。
そのため、退職勧奨をされた際に、解雇の理由がないことを示すというのは有効な交渉方法の1つです。
ただし、一度した主張を後から撤回することは難しいので、会社側の解雇の理由がないことを示すにあたっては、想定される主張反論、証拠、裁判例を十分に検討したうえ行うべきです。
4-2 方法2:働く意思が強いことを示す
退職勧奨の解決金の交渉方法の2つ目は、働く意思が強いことを示す方法です。
退職勧奨の解決金は、労働者に退職に応じてもらうための説得の材料として提案されるものです。
既に退職するつもりになっている労働者に対して、解決金を支払う理由はありません。
そのため、退職勧奨の解決金を交渉する前提として、労働者が退職せずに働き続けたいと考えていることが必要となります。
ただし、働き続ける場合においても、労働者にいくつかのリスクが想定されるケースもありますので、リスクを分析したうえで、適切な言い方や態度を選択するべきです。
4-3 方法3:退職条件が決まるまで転職活動をしない
退職勧奨の解決金の交渉方法の3つ目は、退職条件が決まるまで転職活動をしないことです。
退職勧奨の交渉については、交渉期間に決まりは有りません。
とくに、労働者が大きな解決金額を交渉しようとするほど、時間がかかる傾向にあります。
企業によっては、労働者が水面下で転職活動をしているものと高を括って、解決金の提案や増額を行わずに放置して、労働者が自主的に退職するのを待つこともよくあります。
転職先が決まってしまえば自主的に退職届を出さざるを得なくなりますので、それ以上の解決金の交渉は不可能となります。
そのため、より有利に交渉を進めたいのであれば、退職条件が決まるまでは転職活動はしない方が良いでしょう。
ただし、事案によっては、並行して転職活動を行う方針を採用する場合もありますので、弁護士に相談してみるといいでしょう。
4-4 方法4:弁護士に交渉を依頼する
退職勧奨の解決金の交渉方法の4つ目は、弁護士に交渉を依頼する方法です。
適切な方針を立てて交渉していくことで、相場以上の解決金を獲得できることもあります。
退職勧奨の解決金の交渉は、非常に専門的で、労働分野に関する法的知識広く必要となります。
会社側から想定されるアクションが複数あり、その事案で想定されるパターンをすべて分析したうえで、適切な方針を立てて交渉を行っていく必要があります。
一度言った発言や態度は後から撤回することはできませんので、途中から方針を変えようとしても簡単ではありません。
例えば、途中から弁護士に依頼しようとしても、その段階からではリカバリーが難しいということも多いのです。
また、退職勧奨の解決金の交渉を行うにはリスクも伴いますので、事案に応じたリスクを分析することなく交渉を行うことは危険です。
そのため、退職勧奨の解決金の交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。
5章 退職勧奨の解決金と税金
退職勧奨の解決金については、特別退職金としての名目で支給され、税務上は退職所得として処理されるのが一般的です。
つまり、税務上は、退職金規程に基づく退職金等と同様の処理となります。
給与所得に比べて、税金が安く、社会保険料の控除の対象ともなりませんので、手元に残る金額は大きくなります。
税金は企業側から源泉されることになりますので、原則として、確定申告は不要となります。
ただし、退職勧奨の解決金(特別退職金)の支給日までに退職所得の受給に関する申告書を提出しておかないと、一律に20.42%を源泉されてしまいます。この場合、還付を受けるには確定申告が必要となります。
退職所得の受給に関する申告書は、国税庁の以下のページからダウンロードすることができます。
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁 (nta.go.jp)
なお、退職勧奨の解決金について、合意書上も解決金との名目にする場合には、紛争解決の対価として一時所得として処理することが想定されている可能性があります。
もし、合意書上も、解決金との名目にされている場合には、企業側に対して、税務上の扱いについて、よく確認した方が良いでしょう。
実務上は、解雇後は合意書上も解決金との名目として一時所得としての処理とすることが多いですが、退職勧奨時は特別退職金との名目として退職所得としての処理とすることが一般的です。
6章 外資系の退職勧奨における解決金交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の退職勧奨における解決金の交渉は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料、完全成功報酬としております。
初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
7章 まとめ
以上のとおり、今回は、退職勧奨の解決金について、外資系企業における相場と増額交渉の方法4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・退職勧奨の解決金とは、退職勧奨に応じる対価のことで、正確には特別退職金といいます。
・外資系企業における退職勧奨の解決金の相場は、賃金の3か月分~1年6か月分程度です。
・企業側が退職勧奨の際に解決金なしとすることも違法ではありませんが、労働者としても納得できなければ退職勧奨を拒否することができます。
・退職勧奨の解決金の増額交渉の方法としては、以下の4つがあります。
方法1:解雇の理由がないことを示す
方法2:働く意思が強いことを示す
方法3:退職条件が決まるまで転職活動をしない
方法4:弁護士に交渉を依頼する
・退職勧奨の解決金については、特別退職金としての名目で支給され、税務上は退職所得として処理されるのが一般的です。
この記事が退職勧奨の解決金に悩んでいる外資系企業の労働者の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日