リストラされたらどうなる?40代・50代のポイントとやること4つ

外資系企業で働いていたらリストラにあってしまい悩んでいませんか?
いつかはリストラを告げられるかもしれないと感じていても、いざリストラされたら焦ってしまう方もいますよね。
リストラされたら、通常、会社から仕事を外され、退職合意書にサインするようにと説得され、応じないと整理解雇を通知されます。
30代、40代、50代と年齢を重ねるに連れて、転職はしにくくなっていく傾向にあり、リストラによる悪影響は大きくなります。
もし、外資系企業からリストラされてしまった場合でも、焦らずに、冷静にやるべき対処をしていくようにしましょう。
リストラされてあなたが退職に合意した場合には、その後に行う手続きがいくつかあります。
万が一、あなたがリストラの対象とされてしまったとしても、多くの方は無事に次の転職先を見つけることができています。
実は、外資系企業からリストラされてしまった場合には、あなたがどのように対応していくかによって結論が大きく変わる可能性があります。
この記事をとおして、外資系企業でリストラにあってしまった方に是非知っておいていただきたい知識とノウハウを惜しみなく説明していくことができれば幸いです。
今回は、リストラされたらどうなるかを説明した上で、30代・40代・50代のポイントとやること4つを解説していきます。
この記事を読めば、外資系企業をリストラされたらどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次(contents)
1章 リストラされたらどうなる
リストラされたら、通常、会社から仕事を外され、退職合意書にサインするようにと説得され、応じないと整理解雇を通知されます。
リストラとは、Restructuring(再構築)の略語ですが、日本では主に人員削減の意味で用いられる傾向にあります。
外資系企業のリストラは、日本企業と異なり比較的ドライに進められます。
例えば、外資系企業でリストラされる際は、以下のような流れがとられる傾向にあります。
まず、事前にグローバルにおいて何%の人員を削減することを目標するなどの通達出されることが多いです。ただし、小規模なリストラでは事前の通達はないこともあります。
次に、人事からミーティングを設定されます。とくに用件を伝えられずに、ある日、ミーティングがセットされている傾向にあります。
ミーティングの場に行くと、通常、会社側は2名程度(日本のHRの担当者や上司又はグローバルの担当者)がいます。
そして、あなたのポジションがリストラの対象に選ばれたため、あなたの雇用を継続することは難しくなったと言われます。
そのうえで、退職パッケージを用意したので1週間以内にこれに応じるか、又は、社内公募に応募し自分でポジションを探すか選ぶようになどと言われます。
その後は、仕事から外され、社内アクセスをはく奪され、レポートラインからも外されたうえで、週に1回程度、検討状況の確認を行われます。
拒否し続けると、最終的には整理解雇の通知が出される可能性があります。
2章 30代・40代・50代でリストラされたら
30代、40代、50代と年齢を重ねるに連れて、転職はしにくくなっていく傾向にあり、リストラによる悪影響は大きくなります。
自分の世代に合った対応を知っておくことで、リストラ後の不安を減らすことができます。
例えば、外資系企業からリストラされてしまった場合の年代別のポイントは以下のとおりです。
それでは、順番に説明していきます。
2-1 30代のリストラのポイント
30代は、リストラされても再起しやすい世代です。選択肢が多く、前向きなキャリアチェンジも可能です。
市場では「伸びしろ」や「柔軟性」が評価されやすく、経験年数も積んでいるため、転職活動の武器が揃っています。
例えば、外資系企業で培った語学力やスピード感、プロジェクト経験は、日系企業やベンチャー企業でも高評価です。
また、「年収アップを目指す転職」もまだ十分可能です。
焦って妥協する必要はありません。自分の価値を見直し、長期目線でキャリアを再構築する好機です。
2-2 40代のリストラのポイント
40代は、「即戦力」としての実績とマネジメント経験をどう見せるかがカギです。
企業側は、「成果を出した経験」と「チームを率いた実績」を重視します。一方で転職市場の競争は厳しめです。
例えば、「海外拠点の立ち上げに関わった」「業績を3年連続で向上させた」といった成果は、求人企業にとって大きな判断材料になります。
ポジションと年収にこだわりすぎず、自分の実績を数字で語れるよう準備しておきましょう。
2-3 50代のリストラのポイント
50代は、リストラされたら、「転職」よりも「働き方の再設計」に目を向けることも建設的です。経験を活かす道を見つけることが重要です。
とくに55歳を超えると正社員採用は狭き門となってきますが、コンサル、顧問、独立など、柔軟な働き方にはニーズがあります。
例えば、業界団体や地方企業から、アドバイザーとして声がかかることも。資産や退職金を活かして起業する人もいます。
「年齢」を逆手に取り、豊富な経験と人脈を使って価値を提供できる道を探しましょう。
3章 リストラされたらやること4つ
もし、外資系企業からリストラされてしまった場合でも、焦らずに、冷静にやるべき対処をしていくようにしましょう。
あなた自身の生活やキャリアを守る必要があり、よく考えずに退職してしまうと会社の思うつぼになってしまうためです。
具体的には、外資系企業をリストラされたらやることとしては、以下の4つです。
やること2:弁護士に相談する
やること3:交渉する
やること4:示談又は裁判所への申立て
それでは、これらについて順番に説明していきます。
3-1 やること1:退職合意書にサインせず持ち帰る
リストラされたらやることの1つ目は、退職合意書にサインせず持ち帰ることです。
一度、サインしてしまうと後から撤回することは容易ではありません。
会社もサインを取得した時点で、目的を達成してしまいますので、それ以降は交渉に応じなくなります。
また、退職合意書の内容は複雑ですので、その場で内容を正確に理解することは困難です。
そのため、「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせてください」とだけ回答して、持ち帰るようにしましょう。
3-2 やること2:弁護士に相談する
リストラされたらやることの2つ目は、弁護士に相談することです。
法的な見通しを分析してもらい、リスクやあなたの意向を踏まえたうえで、適切な方針について助言してもらいましょう。
外資系企業はリストラなどの退職交渉に慣れていますので、対等な立場で交渉していくためには、労働者も弁護士のサポートを受けることがおすすめです。
ただし、専門性が高いので、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
外資系企業の労働問題に注力していて、パッケージ交渉について実績のある弁護士を探すといいでしょう。
3-3 やること3:交渉する
リストラされたらやることの3つ目は、交渉することです。
弁護士に相談して方針を決めたら、それに基づいて一貫した対応を行いつつ、話し合いにより解決することが可能かどうか協議してみるといいでしょう。
適切な方針に基づいて交渉していくことで、リスクを減らすことができ、生活やキャリアについても十分な補償を得やすくなります。
ただし、リストラの交渉を行う際には、その発言や態様の一つ一つが有利にも不利にもなることがありますので、十分に注意しましょう。
外資系企業のパッケージ交渉については、以下の記事で詳しく解説しています。
3-4 やること4:示談又は裁判所への申立て
リストラされたらやることの4つ目は、示談又は裁判所への申立てです。
話し合いがまとまったら、合意内容を明確に証拠に残しておくため合意書を作成するようにしましょう。
ただし、合意書の内容について、会社は、一方的に労働者に不利な条項を入れることが多いため、内容について慎重に確認を行う必要があります。
また、話し合いにより解決することが難しく、会社が解雇を強行してくる場合には、労働審判や訴訟など裁判所を用いた解決を検討しましょう。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
不当解雇の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。
4章 リストラされたら行う手続き
リストラされてあなたが退職に合意した場合には、その後に行う手続きがいくつかあります。
ただし、退職に合意する前に手続を進めてしまうと不利になってしまいますので、明確に合意した後に手続を行うよう十分に注意しましょう。
例えば、外資系企業をリストラされたら行う手続きとしては以下の5つがあります。
手続2:失業保険の受給手続き
手続3:退職所得の受給に関する申告書の提出
手続4:確定拠出年金(401k)の移換手続き
手続5:RSUの換金手続き
それでは、これらの手続きについて順番に説明していきます。
4-1 手続1:社会保険の切り替え手続き
退職と同時に会社の健康保険を失うため、速やかに次の保険への加入が必要です。
無保険期間ができると、病気やケガで高額な医療費が自己負担になってしまうリスクがあります。また、未加入期間は保険料未納扱いとなり、将来の年金受給にも影響します。
例えば、任意継続を選べば、最大2年間は会社の健康保険を継続できます(ただし原則として保険料は全額自己負担)。
国民健康保険は所得に応じて保険料が変動しますので、比較検討が重要です。
退職後14日以内を目安に、必要書類をそろえて市区町村または健康保険組合に申請しましょう。
4-2 手続2:失業保険の受給手続き
雇用保険の加入期間が一定以上ある場合、失業手当を受け取ることができます。
失業中の生活費の支えとなるだけでなく、再就職活動の猶予を得る意味でも非常に重要です。
例えば、自己都合退職では給付まで1月の給付制限がありますが、会社都合退職(リストラ)の場合は待機期間7日後からすぐに受給が始まるため、受給総額にも大きな差が出ます。
離職票が届き次第、できるだけ早くハローワークで手続きを開始しましょう。証明書類や本人確認書類、写真の持参が必要です。
4-3 手続3:退職所得の受給に関する申告書の提出
退職金を受け取る前に「退職所得の申告書」を会社に提出することで、課税額を大幅に抑えることができます。
この申告書がないと、一律に20.42%の割合により源泉されてしまいます。
例えば、長期間勤続した方の場合には、退職所得控除の金額も大きく、申告書を提出すれば所得税・住民税がほとんどかからない可能性もあります。
会社によっては、退職所得の受給に関する申告書を理解していないことがあります。会社からアナウンスがない場合には、確認するようにしましょう。
4-4 手続4:確定拠出年金(401k)の移換手続き
企業型確定拠出年金(401k)に加入していた場合、退職後は個人型(iDeCo)などに資産を移す必要があります。
資格喪失後6か月以内に移換手続きを行わないと、国民年金基金連合会に自動的に移換されます。
自動移換されると、現金の状態で運用の指図ができないのに、一方で管理手数料が差し引かれるなどのデメリットがあります。
また、自動移換中は老齢給付金を受け取るための加入者機関に算入されず、受給開始時期が遅くなる可能性があります。
そのため、速やかに移換手続きを行うようにしましょう。
4-5 手続5:RSUの換金手続き
RSUなどのストック報酬は、退職により権利が消滅する場合があるため、退職前後の条件を必ず確認しましょう。
RSUは株式の付与が確定していない段階では「無効化」されることが多く、退職日や退職理由によっては一切受け取れない可能性もあるからです。
例えば、退職合意書において、RSUに関する権利についての記載がされていることもありますのでよく読み込みましょう。
RSUは重要な資産です。もらえない前提ではなく、「どうすれば受け取れるか」、「どうすれば損しないか」を事前に戦略的に確認・行動しましょう。
RSUについては、以下の記事で詳しく解説しています。
5章 リストラされた人のその後
万が一、あなたがリストラの対象とされてしまったとしても、多くの方は無事に次の転職先を見つけることができています。
リストラは決してキャリアの終わりではありません。むしろ、これまでの経験を活かして働き方や生き方を見直す「転機」として捉えることもできます。
外資系企業では「合理化」「構造改革」の一環としてリストラが行われることが一般的です。
個人の能力や勤務態度とは関係なく、部署ごと、役職ごとに整理対象となることも珍しくありません。
つまり、リストラの通知を受けたからといって、自分に問題があったと必要以上に思い詰める必要はありません。
例えば、業種や職種を変えて、まったく別の分野に挑戦する方もいます。これまでの経験が思わぬ形で活かされることもあります。
また、外資から日系企業へ転職し、働き方や組織文化の違いに戸惑いながらも、安定性を重視した新たな職場で再出発する人もいます。
同じ業界の競合他社に移り、これまでの知識や人脈を活かしてスムーズにキャリアを継続する人も多く見られます。
重要なのは、リストラの後にどう動くかです。
正しく対応し、自分の強みや経験を見つめ直せば、その後のキャリアを自分の手で切り開くことは十分に可能です。
とくに外資系で積み重ねてきたスキルや実績は、多くの企業やプロジェクトで必要とされています。
「この先どうすべきか」を前向きに考え、自分のペースで進んでいきましょう。
6章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の解雇は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
リストラの有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料、完全成功報酬としております。
初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
7章 まとめ
以上のとおり、今回は、リストラされたらどうなるかを説明した上で、30代・40代・50代のポイントとやること4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
“まとめ”
・リストラされたら、通常、会社から仕事を外され、退職合意書にサインするようにと説得され、応じないと整理解雇を通知されます。
・外資系企業からリストラされてしまった場合の年代別のポイントは以下のとおりです。
・外資系企業をリストラされたらやることとしては、以下の4つです。
やること1:退職合意書にサインせず持ち帰る
やること2:弁護士に相談する
やること3:交渉する
やること4:示談又は裁判所への申立て
・外資系企業をリストラされたら行う手続きとしては以下の5つがあります。
・万が一、あなたがリストラの対象とされてしまったとしても、多くの方は無事に次の転職先を見つけることができています。
この記事が外資系企業で働いていたらリストラにあってしまい悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日