退職勧奨の理由の例6つ!確認ポイントや注意点と簡単な対処手順
退職勧奨される理由には、「会社側の理由」と「労働者側の理由」があります。
解雇ではないので自由に拒否することはできますが、将来解雇された場合の見通しを前提として方針を検討することが大切となります。
この記事の要点
・退職勧奨の理由としては、労働者側の理由としては能力不足や業務態度、ハラスメント、心身の不調が挙げられることが多いです。会社側の理由としてはポジションクローズや経営不振などが挙げられます。
・退職勧奨の理由を説明されたら、聞きに徹し、反論は弁護士に相談してからにしましょう。事実と異なる部分は指摘し、至らない点があれば改善の意思を示すことも必要です。他のポジションにも柔軟な姿勢を示しましょう。
この記事を読めば、退職勧奨の理由やこれに応じた対応がよくわかるはずです。
目次(contents)
1章 退職勧奨の理由の例6つ
退職勧奨が行われる背景には、大きく分けて「働く人側に原因があるとされるもの」と「会社側の都合によるもの」の2つがあります。
とくに外資系企業から退職勧奨をされる理由には一定の傾向があります。
例えば、退職勧奨の理由の例としては以下の6つがあります。
例2:業務態度
例3:ハラスメント
例4:心身の不調
例5:ポジションクローズ
例6:経営不振

それでは、それぞれの理由について順番に見ていきましょう。
1-1 例1:能力不足
会社から「仕事のパフォーマンスが足りない」という理由で退職を勧められることがあります。
会社が求めるスキルと実際の成果にギャップがあるとこのような理由が挙げられます。
例えば、営業成績が目標に届かなかったり、事務作業で期限を守れなかったりするケースが挙げられます。
ただし、一度の失敗だけで能力不足と決めつけることは難しく、会社は教育や指導を十分に行うことが必要です。
能力不足を理由とした退職勧奨については、以下の記事で詳しく解説しています。
1-2 例2:業務態度
日頃の仕事に対する姿勢やルール違反が理由になることもあります。
職場全体の規律を保つために、態度の改善が見られない人に対して退職を打診することがあります。
例えば、無断欠勤を繰り返したり、上司の正当な業務指示に従わなかったりするケースなどです。
ただし、単に生意気そうに見えるなどといっただけでは、退職しなければいけないほどの理由とは言いにくいでしょう。
1-3 例3:ハラスメント
他の社員に対して嫌がらせをしたとして、退職を促されるケースです。
職場環境を守る義務がある会社にとって、ハラスメント行為は放置できない重大な問題だからです。
例えば、部下に対して大声で怒鳴ったり、同僚が嫌がる性的な発言をしたりするケースです。
事実関係が曖昧なまま認めると不利になってしまうこともあるため、慎重に対応する必要があります。
ハラスメントが解雇事由になるかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
1-4 例4:心身の不調
病気や怪我によって以前と同じように働けなくなった際に、退職を勧められることがあります。
会社側が「今の健康状態では業務の継続が難しい」と判断するためです。
例えば、うつ病で長期間の休職が必要になったり、怪我の影響で体を使った作業ができなくなったりするケースがよくあります。
この場合、休職期間満了をもっても復職できる状況になっていないかなどが問題になります。
1-5 例5:ポジションクローズ
その人が担当していた仕事や部署自体がなくなる「ポジションクローズ」も理由の一つです。
組織改編によって、特定の役割が会社の中から消えてしまうことがあるためです。
例えば、グローバルの方針で、アジアの組織体制を変更し、日本の担当者をなくして直接中国にレポートすることにしたと言ったような場合です。
ジョブ制と言えども他のポジションへの配置転換の意向を全く確認せずに退職させることは不当となりがちです。
ポジョンクローズについては、以下の記事で詳しく解説しています。
1-6 例6:経営不振
会社の経営状態が悪く、人件費をカットせざるを得ないという理由です。
倒産を避けるために、希望退職を募ったり個別に退職を勧めたりする必要があるからです。
例えば、売上が急激に落ち込んだり、人件費が嵩んだりと言った理由により、人員が削減されることがあります。
経営不振が理由の場合でも、会社には解雇回避努力がありますので、雇用を維持してもらうことができないか協議をすることが大切です。
外資系企業のリストラについては、以下の記事で詳しく解説しています。
2章 退職勧奨の理由の確認ポイント3つ
会社から示された退職勧奨の理由が、法的に見て妥当なものかどうかをチェックしましょう。
なぜなら、会社が挙げた理由が不当なものであれば、あなたは退職に応じる必要がなく、有利な条件での交渉もしやすいためです。
退職勧奨の理由の確認ポイントとしては、以下の3つがあります。
ポイント2:合理的な理由か
ポイント3:社会通念上相当か
それでは、これらの確認ポイントについて順番に見ていきましょう。
2-1 ポイント1:客観的な根拠があるか
まず確認すべきなのは、会社が主張する理由に「目に見える証拠」があるかどうかです。
個人の主観や感情ではなく、誰が見ても納得できる事実に基づいている必要があるからです。
例えば、成績不振を理由にするなら過去の営業実績のデータがあったり、遅刻を理由にするならタイムカードの記録が残っていたりするケースが考えられます。
もし「なんとなく合わない」といった曖昧な理由であれば、客観的な根拠があるとは言えません。
2-2 ポイント2:合理的な理由か
次に、その理由が「辞めさせることにつながるほど理にかなっているか」を考えます。
一時的なミスや、教育で改善できるような些細な問題では、退職を勧める理由として不十分だからです。
例えば、一度だけ提出物の期限に遅れたり、一回だけ接客で言葉遣いを注意されたりした程度のことで退職を迫るのは、合理性に欠けるケースがあります。
会社の製品に問題があり営業成績が上がらなかった場合、過大な目標を課されていて達成できなかったような場合も、労働者の落ち度と言えず不合理でしょう。
2-3 ポイント3:社会通念上相当か
最後は、世の中の常識に照らし合わせて「それはやりすぎではないか」という視点で確認します。
これを「社会通念上相当」と呼び、社会のルールとして認められる範囲内であるかが問われます。
例えば、労働者が原因の場合には改善指導の機会を与えたり、会社が原因の場合には真摯に経営状況を説明し時期や条件などを協議したりする必要があります。
3章 退職勧奨の理由に納得できない場合の対処法
会社から示された理由に納得がいかないときは、焦って結論を出さずに、正しい手順で対応しましょう。
自分の生活と権利を守るために、冷静にステップを踏んで行動しましょう。
例えば、退職勧奨の理由に納得できない場合の対処手順としては、以下の4つがあります。
手順2:弁護士に相談する
手順3:交渉をする
手順4:労働審判・訴訟を提起する

それでは、それぞれの対処法について順番に見ていきましょう。
3-1 手順1:安易にサインせず一度持ち帰る
会社から退職届などの書類を提示されても、その場ですぐにサインをしてはいけません。
退職勧奨に応じるかどうかはあなたの自由であり、じっくり考える時間を持つ権利があるからです。
後悔しない決断をするために、まずは「一度持ち帰って検討します」とはっきり伝えましょう。
例えば、面談の場で「今日中に決めてほしい」と迫られたり、目の前に書類を置かれたりするケースもあります。
どのようなプレッシャーがあっても、その場で判を押したり名前を書いたりせず、まずは自宅に持ち帰りましょう。
3-2 手順2:弁護士に相談する
会社側の言い分に疑問を感じたら、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
あなたの状況が法的に見てどうなのか、会社側の要求が正当なものなのかを客観的に判断してもらえるからです。
一人で抱え込んで精神的に追い詰められないように、早い段階で専門的なアドバイスを受けることが重要です。
例えば、会社から提示された理由書の内容をチェックしてもらったり、今後の見通しについて説明を受けたりするといいでしょう。
3-3 手順3:交渉をする
法的な見通しを踏まえて方針を決めたら、会社側と条件面などの交渉を行います。
退職を拒否して働き続ける道を選ぶのか、あるいは納得できる条件で退職を受け入れるのなどの話し合いを行います。
自分の希望に近い形で解決するためには、こちらの主張を論理的に伝える必要があります。
例えば、退職金の上積みを求めたり、就労免除期間をつけてもらったりするほか、有給休暇をすべて消化してから退職するといった交渉を行うケースもあります。
話し合いがまとまったら合意書を作成することになります。
3-4 手順4:労働審判・訴訟を提起する
話し合いでの解決が難しく解雇を強行された場合には、裁判所の手続きを利用することを検討します。
労働審判は迅速に解決を目指す制度で、3回以内の期日で判断が出るのが特徴です。
例えば、解雇の無効を求めて労働審判を申し立て、和解金として数か月分の給与に相当する金額を得るケースもあります。
もし労働審判で解決しなければ訴訟に進み、最終的には裁判所が解雇の有効性を判断することになります。
労働審判については、以下の動画でも解説しています。
不当解雇の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。
不当解雇の裁判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
4章 退職勧奨の理由を確認する際の注意点
会社から退職を勧められた際、その場でどのように振る舞うかはその後の展開を左右します。
感情的に反論したり、不用意な一言を発したりすると、後から自分に不利な証拠として扱われてしまうこともあります。
退職勧奨の理由を確認する際の注意点としては、以下の5つです。
注意点2:反論する前に弁護士に相談する
注意点3:事実と異なる部分は指摘する
注意点4:至らない点があれば改善の意思を示す
注意点5:他のポジションも安易に拒否しない
それでは、それぞれの注意点について順番に見ていきましょう。
4-1 注意点1:聞きに徹してその場で反論しない
会社との面談では、まずは相手の言い分を最後まで聞く「聞き役」に徹しましょう。
相手が何を根拠に退職を求めているのか、その情報をすべて出し切ってもらうことで、後の対策が立てやすくなるからです。
不用意な衝突を避けるために、メモを取ることに集中しましょう。
例えば、上司が厳しい言葉を投げかけてきたり、心当たりのない不満を並べたりするケースもあります。
腹が立つこともあるかもしれませんが、その場では「会社の考えは理解しました。一度持ち帰ります。」と受け止めるにとどめ、冷静さを保ってください。
4-2 注意点2:反論する前に弁護士に相談する
会社への本格的な反論は、弁護士に相談してから行うようにするといいでしょう。
法律の知識がないまま反論してしまうと、不利な反論になっていたり、言葉の揚げ足を取られたりしてしまったりすることが多いためです。
自分自身で送ってしまった反論が後から不利な証拠として出されると言うことが少なくないのです。
まずは弁護士と一緒に作戦を立て、方針を作成したうえで、一貫した対応をしていくようにしましょう。
4-3 注意点3:事実と異なる部分は指摘する
会社が挙げた理由の中に、明らかな事実誤認がある場合は、その点についてのみ冷静に指摘しておきましょう。
間違った事実をそのまま認めてしまうと、後から「本人が認めた」と解釈されてしまう危険があるからです。
ただし、感情的にならずに「その点については、私の認識と異なります」と事実関係のみを淡々と伝えることがポイントです。
例えば、参加していない会議で問題を起こしたと言われたり、実際には行っていない操作をミスだと指摘されたりするケースが挙げられます。
事実と違う部分については、メモにもしっかりと残しておくようにしましょう。
4-4 注意点4:至らない点があれば改善の意思を示す
もし自分に反省すべき点があると言われた場合には、前向きに改善する意思を伝えることが有効です。
改善の意欲がある労働者を無理やり辞めさせることは、法律的に見て難しいからです。
会社の言うことをすべて否定するのではなく、至らない点があったのであれば改善したいと思いますと伝えておくと丁寧でしょう。
4-5 注意点5:他のポジションも安易に拒否しない
今の仕事がなくなると言われた際、他の部署や職種への異動を提案されたら、すぐに断らずに検討する姿勢を見せましょう。
他の仕事ができる可能性があるのに、それを頑なに拒否してしまうと、会社から「これ以上雇い続ける努力をしたけれど、本人が断った」という口実を与えてしまうからです。
例えば、営業から事務への異動を打診されたり、別の営業所への転勤を提案されたりするケースがあります。
「今の仕事以外は絶対に嫌だ」と即答するのではなく、まずは条件を確認したり、検討する時間をもらったりするようにしましょう。
5 退職勧奨の理由についてよくある疑問
退職勧奨の理由についてよくある疑問としては、以下の3つがあります。
Q2:退職勧奨の理由は離職票にかかれる?
Q3:退職勧奨の理由を具体的に話せないと言われたら?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
失礼いたしました。5章の各回答を、読者がパッと見て理解できるよう、よりシンプルで端的な表現に修正いたします。
5-1 Q1:退職勧奨理由書はもらうべき?
A.口頭でわかりにくい場合にはメールやチャットなどで送ってもらうこともあります。
ただし、会社側に退職勧奨理由書の提出義務があるわけではありません。会社側からも警戒されてしまうこともあります。
退職勧奨を録音するなどで十分なことも多いでしょう。
退職勧奨の録音については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-2 Q2:退職勧奨の理由は離職票にかかれる?
A.離職票の「4 事業主からの働きかけによるもの」の「⑶希望退職の募集又は退職勧奨」の箇所にチェックされます。
具体的には、退職勧奨の理由に応じて、「①事業の縮小又は一部休廃止に伴う人員整理を行うためのもの」、「②その他(理由を具体的に)」にチェックされることになります。
(理由を具体的に)との箇所又は具体的事情記載欄に退職勧奨の理由を記載する会社もあるかもしれませんが、トラブルにならないよう詳しく記載しすぎない会社が多いです。
気になる場合には会社と協議しておくといいでしょう。
5-3 Q3:退職勧奨の理由を具体的に話せないと言われたら?
A.理由を教えられないと言われた場合は、その場で退職に応じるのは避けましょう。
具体的な理由が言えないということは、客観的な根拠がない不当な要求である可能性が高いからです。
例えば、「総合的な判断だ」といった曖昧な言葉で濁されたり、説明を拒否されたりするケースもあります。
理由を明らかにしないまま退職を迫ることは不適切な対応ですので、無理に話し合いを続けず、一度弁護士へ相談することをおすすめします。
6章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の解雇は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
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7章 まとめ
以上のとおり、今回は、退職勧奨の理由の例6つを説明したうえで、確認ポイントや注意点と簡単な対処手順を解説しました。
この記事が退職勧奨の理由に納得できないと感じている方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日







