整理解雇で退職金なし!?上乗せ相場は3~24ヶ月分|4つの対処法

整理解雇で退職金なし!?上乗せ相場は3~24ヶ月分|4つの対処法


外資系企業から整理解雇されてしまい退職金をもらえないのか悩んでいませんか

生活もありますし、会社側の原因で解雇されたのに何も保証がないというのはおかしいのではないかと感じている方もいますよね。

整理解雇で退職金なしとすることも、直ちに違法とは限りません。

ただし、退職金制度がある場合には、これに基づいて、会社は退職金を支払う義務があります

また、整理解雇の場合には、退職金制度に基づく退職金のほかに特別退職金の上乗せがされるのが通常です。

外資系企業から整理解雇された際の特別退職金の上乗せ相場は、賃金の3ヶ月分~24ヶ月分程度です。

もし、不当な整理解雇をされてしまい、十分な退職金もない場合には、焦らずに冷静に対処していくようにしましょう。

整理解雇の退職金については、最終的には実態で課税されることになりますが、一次的には退職所得として処理されるのが通常です。

実は、日本の法律では整理解雇には厳格な条件があり、これは外資系企業であっても同じであるにもかかわらず、十分な補償もなく不当な解雇が強行されているケースが少なくありません

この記事をとおして、外資系企業で働いていて、退職金をもらえずに整理解雇されてしまった方々に是非知っておいていただきたい知識やノウハウを惜しみなく説明していくことができれば幸いです。

今回は、整理解雇の退職金について、退職金なしの違法性を説明したうえで、上乗せ相場や対処法を解説していきます。

この記事を読めば、十分な退職金をもらえずに整理解雇されてしまった場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。

1章 整理解雇で退職金なしは違法?

整理解雇なしで退職金なしは違法?

整理解雇で退職金が支払われない場合でも、直ちに違法とは限りません

日本の法律では、退職金の支払いは必ずしも義務ではないためです。

退職金規程などで退職金制度が設けられていなければ、企業に退職金の支払い義務はありません。

例えば、外資系企業では、オファーレターを確認してみると、退職金なしと明記されていることも少なくなく、このような会社には退職金制度が存在しない可能性が高いです。

ただし、退職金制度がある場合には、一定期間勤続すれば整理解雇であっても退職金の支払い義務が生じる内容になっていることが通常です

退職金支給条件が満たされているにもかかわらず、整理解雇だから退職金を支給しないというのは違法となります。

2章 整理解雇時の退職金の種類2つ

整理解雇された場合に支払われる退職金には、大きく分けて、「退職金制度に基づく退職金」と「特別退職金」の2種類あります。

整理解雇時の退職金を理解する際には、これらを区別して考えていくことが大切です。

整理解雇時の退職金の種類2つ

それでは、これらについて順番に説明していきます。

2-1 退職金制度に基づく退職金

まず整理解雇の際に支払われることのある退職金の1つ目は、退職金制度に基づく退職金です。

退職金制度に基づく退職金とは、退職金規程等の退職金制度がある場合に支給条件を満たすともらえる退職金です

いわゆる通常の退職金となります。

まずは、自社に退職金制度があるか、制度上どう定められているかを確認し、自分の受給資格と金額を把握しましょう。

例えば、雇用契約書やオファーレターを見てみると、退職金の支給の有無が記載されていることが多いです。

また、退職金制度がある場合には、就業規則に退職金に関する記載がされていることが通常です。

外資系企業の退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。

2-2 特別退職金

次に整理解雇の際に支払われることのある退職金の2つ目は、特別退職金です。

特別退職金とは、企業側に支払い義務はないものの任意で上乗せされる退職金です

整理解雇は労働者に落ち度がないのに退職させるものであり、企業には、解雇を回避する努力や労働者に納得してもらうよう真摯に対応する義務があります。

また、企業は、整理解雇の有効性を争われた場合には、裁判所から高額の支払いを命じられるリスクがあります。

そのため、企業は、通常の退職金に上乗せして労働者に退職を承諾してもらおうとするのです。

特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。

3章 整理解雇時の退職金制度に基づく退職金の計算

退職金制度に基づく退職金は、整理解雇の場合には会社都合退職として、自己都合の場合よりも有利に計算して支給される傾向にあります

退職金規程がある場合には、退職時の給与の金額と勤続年数、退職の理由により退職金が算定される内容になっていることが多いためです。

例えば、退職金規程において、退職金の計算式が以下のとおり定められていたとします。
退職金の算定式:基準給与×勤続年数による支給係数×退職理由による支給率

【基準給与】
退職時のBase salaryの1ヶ月分
【勤続年数による支給係数】
3年目:2.5
4年目:3.7
5年目:5.1

【退職理由による支給率】
自己都合:0.7
会社都合:1.0

この場合において、あなたの1ヶ月分のBase salaryが83万円、勤続年数が4年であったとします。

そうすると、整理解雇をされた場合の退職金制度に基づく退職金は、
83万円×3.7×1.0=307万1000円となります。

4章 整理解雇の特別退職金の上乗せ相場|3ヶ月分~24ヶ月分

外資系企業から整理解雇された際の特別退職金の上乗せ相場は、賃金の3ヶ月分~24ヶ月分程度です。

特別退職金については、2-2で説明したとおり、解雇回避努力や手続の相当性、紛争リスクの回避と言った観点から提示されるものとなります

整理解雇が有効とされるだけの十分な理由があるか、企業側がどの程度退職してもらいたいと考えているか、労働者側の働く意思の強さなどによって、金額が左右されます。

例えば、外資系企業は、勤続年数が長い労働者で、十分な理由がないのにグローバルの決定で解雇以外の選択をとれない場合には、1年分を超える上乗せをしてくることもあります。

もし、整理解雇を強行して不当とされた場合には、企業には数年分の賃金を後から遡って支払わなければいけないリスクがあるためです。

ただし、整理解雇の退職金の上乗せについては、あなたがどのように対応するかで金額は大きく変わることになります

企業はなるべく支払う金額を少なくしようとして、退職金の上乗せを提示してこなかったり、低い金額から提示して交渉次第で増額をしたりすることが多いためです。

整理解雇された人がたくさんいる場合であっても、交渉した人にだけ特別退職金が支払われたり、交渉の内容によって金額を変えたりされることが少なくありません。

5章 整理解雇で退職金がない場合の対処法

もし、不当な整理解雇をされてしまい、十分な退職金もない場合には、焦らずに冷静に対処していくようにしましょう。

適切に対処していくことで十分な金銭的補償を獲得できる場合も多いためです

具体的には、整理解雇で退職金がない場合の対処手順としては以下のとおりです。

手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する

整理解雇で退職金がない場合の対処法4つ

それでは、これらの手順について順番に説明していきます。

5-1 手順1:弁護士に相談する

不当な整理解雇で退職金がない場合の対処手順の1つ目は、弁護士に相談することです。

法的な見通しを分析してもらい、あなたの意向を踏まえて、どのようの対応をとるべきか事案に応じた助言してもらうといいでしょう。

整理解雇をされた場合には、策定した方針に基づいて、一貫した対応をしていくこと成功の秘訣です。

一度行った態様や発言は後から撤回することは容易ではなく、労働者自身に不利に評価されてしまうこともあります

そのため、整理解雇をされたら最初に弁護士に相談することがおすすめなのです。

ただし、外資系企業の解雇問題は非常に専門的なので、外資系企業の不当解雇問題に実績のある弁護士を探すといいでしょう。

5-2 手順2:通知書を送付する

不当な整理解雇で退職金がない場合の対処手順の2つ目は、通知書を送付することです。

整理解雇をされたら早い段階で、解雇が濫用として無効であることを通知するようにしましょう。

解雇された後に何もせずに放置していると、解雇を認めていたと指摘されたり、働く意思を喪失していたと反論されたりすることがあるためです

5-3 手順3:交渉する

不当な整理解雇で退職金がない場合の対処手順の3つ目は、交渉することです。

会社から回答があったら話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議してみましょう。

示談により解決することができれば、早期に少ない負担と労力で良い解決をできる可能性があります

5-4 手順4:労働審判・訴訟を提起する

不当な整理解雇で退職金がない場合の対処手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。

話し合いによる解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた解決を検討します。

労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます

労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。

訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。

不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。

6章 整理解雇の退職金と税金

整理解雇の退職金については、一次的には退職所得として処理されるのが通常です

社会保険料は源泉されず、給与に比べて税金も少ないことが多いですが、2022年4月1日以降は勤続年数が5年以下の方の場合は節税効果が少なくなっています。

また、退職所得の受給に関する申告書を出さないと、一律に20.42%の割合で源泉されてしまうため、忘れずに提出するようにしましょう。

なお、最終的には税務署により実態で課税されることになりますので、注意が必要です

7章 整理解雇で退職金以外によくある疑問3つ

整理解雇で退職金以外によくある疑問としては、以下の3つがあります。

Q1:整理解雇された日より後の給料はどうなる?
Q2:退職金以外に慰謝料を請求できる?
Q3:退職金ではなく在籍期間を延長してもらえる?

それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。

7-1 Q1:整理解雇された日より後の給料はどうなる?

A:整理解雇された日よりも後の給料は支払われなくなります

ただし、整理解雇が不当である場合には、解雇日から解決日までの給料を遡って請求できる可能性があります。これをバックペイと呼びます。

整理解雇が不当である場合には、解雇日以降出勤できなかった原因は会社側にあることになりますので、その期間働いていなくても給料を支払ってもらえる可能性があるのです。

例えば、2025年5月末に整理解雇されて、2026年5月末に整理解雇が不当とされた場合には、1年分の給与が遡って払われる可能性があります。

バックペイについては、以下の記事で詳しく解説しています。

7-2 Q2:退職金以外に慰謝料を請求できる?

A:慰謝料を請求できる可能性はあります

ただし、不当解雇の慰謝料は容易には認められず、金額も少額になりやすい傾向にあります。

バックペイの金額が大きくなるため、これにより精神的苦痛が填補されたと判断されがちであるためです。

不当解雇の慰謝料については、以下の記事で詳しく解説しています。

7-3 Q3:退職金ではなく在籍期間を延長してもらえる?

A:在籍期間を延長してもらえることもあります

整理解雇前の退職勧奨では、在籍期間を延長し、退職日までの間の一定期間就労を免除するとの条件を交渉することがよくあります。

キャリアにブランクを空けず、生活の不安なく、転職活動に専念できるためです。

いわゆるガーデンリーブと言われる期間となります。

整理解雇された後であっても、整理解雇を撤回し、退職日を後ろ倒ししたうえで就労を免除し給与を支給してもらうとの条件を交渉できることがあります。

ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。

8章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!

外資系企業の解雇の相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください

この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。

解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります

リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。

解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。

解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)

また、解雇やパッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料完全成功報酬としております。

初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

9章 まとめ

以上のとおり、今回は、整理解雇の退職金について、退職金なしの違法性を説明したうえで、上乗せ相場や対処法を解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

“まとめ”

・整理解雇で退職金が支払われない場合でも、直ちに違法とは限りません。

・整理解雇された場合に支払われる退職金には、大きく分けて以下の2種類あります。

整理解雇時の退職金の種類2つ

・外資系企業から整理解雇された際の特別退職金の上乗せ相場は、賃金の3ヶ月分~24ヶ月分程度です。

・整理解雇で退職金がない場合の対処手順としては以下のとおりです。
手順1:弁護士に相談する
手順2:通知書を送付する
手順3:交渉する
手順4:労働審判・訴訟を提起する

・整理解雇の退職金については、最終的には実態で課税されることになりますが、一次的には退職所得として処理されるのが通常です。

この記事が外資系企業から整理解雇されてしまい退職金をもらえないのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

Flow of consultation

ご相談の流れ

  • Step1

    ご相談予約

    下記お問い合わせフォームやLINEにて簡単に相談予約をしていただけます。また、お電話でのご予約も承っています。

    メールで相談予約 友だち追加
  • Step2

    無料ご相談

    対面やオンラインにより簡単にヒアリングを実施させていただきます。初回相談は60分間無料です。

  • Step3

    案件着手

    解決までの見通しや見積もり等をご案内のうえ、同意いただき案件に着手致します。

ご依頼をご検討中の方はこちら