退職勧奨で退職届は必要?書き方や退職合意書によるべき理由4つ【例文テンプレート付き】

退職勧奨で退職届を出すように言われて悩んでいませんか?
会社側から退職するように言われているのに何故自分が退職届を出すことになるのか疑問に感じている方もいますよね。
退職勧奨で退職届は、必要ありません。
会社から言われてどうしても退職届を出さざるを得ないという場合には、一身上の都合により退職するとは記載しないように注意しましょう。
もっとも、退職勧奨により退職する際には、退職した後のトラブルを防ぐため、退職合意書によるのが通常です。
企業から退職届を書くように言われた場合には、安易にサインせず適切に対処していくようにしましょう。
実は、外資系企業からは退職勧奨の際にパッケージの提示が行われることも多いですが、その内容について正しく書面に残しておかないとトラブルになりがちです。
この記事をとおして、退職勧奨の際に退職届を出すというのは普通のことではなく、あなた自身の権利を守りトラブルを防止するためにも、退職合意書にすべきということをお伝えできれば幸いです。
今回、退職勧奨で退職届は必要かを説明したうえで、書き方や退職合意書によるべき理由4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、外資系企業から退職届を記載するように言われた場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
退職勧奨と退職届については、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次(contents)
1章 退職勧奨で退職届は必要?
退職勧奨を受けた場合、基本的に退職届を出す必要はありません。
なぜなら、退職勧奨は会社側からの申し出によって労働者が退職するものであり、労働者の一方的な意思で辞める「自己都合退職」とは性質が異なるからです。
退職届とは、本来、自分の意思で退職を申し出るときに使う書類です。
しかし、退職勧奨では会社の働きかけによって退職することになります。
それにもかかわらず、労働者から一方的に退職を申し出たように見える「退職届」を出してしまうと、自己都合退職として扱われてしまうリスクがあります。
例えば、「一身上の都合により退職します」と書いた退職届を出してしまうと、会社との合意があったかどうかが分からず、後で不利な立場になることもあります。
そのため、退職勧奨の際には、退職届を出すのではなく、会社との合意を明確にする「退職合意書」を交わすことが大切です。
安易に退職届を出してしまうと、不本意な形で退職を認めたことになりかねないため、注意が必要です。
2章 退職勧奨の退職届の書き方|例文テンプレート
退職勧奨を受けた場合でも、どうしても退職届を出す必要があるなら、書き方には十分注意する必要があります。
なぜなら、書き方によっては、自己都合退職として処理されてしまい、失業保険を受給する際、トラブルにつながる可能性があるからです。
例えば、「一身上の都合により退職します」などと書いてしまうと、自分の意思で退職したように扱われてしまう可能性があります。
これでは退職勧奨による合意退職であったことが証明できず、ハローワークに異議を出しても、会社都合として取り扱ってもらえないリスクがあります。
自己都合退職とされてしまうと、会社都合退職の場合に比べて、失業保険を受給する条件や受給までの期間、給付日数について不利になってしまいがちです。
そのため、どうしても退職届を出さなければならない場面では、少なくとも「一身上の都合」との退職理由の記載は避けるようにしてください。
退職勧奨を受けた場合に使える退職届の例文のテンプレートは以下のとおりです。

3章 退職勧奨では退職届ではなく合意書にするべき理由4つ
退職勧奨の際には、退職届を提出するよりも、退職合意書を作成することが重要です。
退職届ではなく退職合意書としておくことで、後々のトラブルを防ぐことにも繋がります。
例えば、退職勧奨では退職届ではなく合意書にするべき理由としては、以下の4つがあります。
理由2:離職理由を明確にできる
理由3:特別退職金やガーデンリーブを交渉できる
理由4:口外禁止や誹謗中傷の禁止を約束できる
それでは、それぞれの理由について順番に見ていきましょう。
3-1 理由1:会社側の合意も証拠に残る
退職合意書を作成しておけば、会社と労働者の双方が合意したことが書面に残ります。
退職届はあくまでも労働者が作成する書面で、会社側の意思は残りません。
退職合意書に記載された内容については、労働者と会社の双方が合意していたことが証拠として残ることになります。
そのため、後になって、会社からそのような内容は約束していないなどを言われることを防ぐことができます。
このように、退職合意書を取り交わすことで、会社の同意もきちんと証拠として残すことができ、あなたの権利を守りやすくなります。
3-2 理由2:離職理由を明確にできる
退職合意書に「会社都合退職」と明記しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
なぜなら、離職理由が不明確だと、失業保険や再就職活動に影響が出る可能性があるからです。
退職届だけを提出した場合、離職理由が自己都合と誤解されることがあります。
しかし、退職合意書に「退職勧奨による会社都合退職」と記載しておけば、会社側もその内容に同意したことになります。
これにより、離職票に「会社都合」として記載されやすくなり、失業保険の給付も有利になります。
例えば、自己都合とされると給付までに3か月の待機期間が設けられますが、会社都合であれば7日間の待機のみで受給が開始されます。
また、企業が後から「自分から辞めた」と主張してくるケースもありますが、退職合意書に記録があれば、そうした言い分に対抗しやすくなります。
このように、退職合意書で離職理由を「会社都合」と明確にしておくことで、不利な取り扱いや誤解を防ぎ、あなたの権利をしっかり守ることができます。
3-3 理由3:特別退職金やガーデンリーブを交渉できる
退職合意書があれば、特別退職金やガーデンリーブ(退職前の出勤免除期間)など、退職条件の交渉がしやすくなります。
退職勧奨は、会社側の都合で労働者に辞めてもらうようお願いするものにすぎず、本来これに応じるかどうかは労働者の自由です。
そのため、労働者納得できる退職条件が交渉されることがよくあります。
これに対して、単なる退職届ですと、労働者が退職すると記載されているだけで、このような退職条件の交渉を取り決めることが難しいのです。
退職届だけで済ませてしまうと、後から、「交渉する場がなかった」ということになりかねません。
労働者が退職届を出した後であれば、会社側が労働者に有利な条件を提示する理由もなくなるためです。
そのため、自身の生活やキャリアを守るためにも退職合意書として、適正な補償を交渉していくといいでしょう。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。
3-4 理由4:口外禁止や誹謗中傷の禁止を約束できる
退職合意書では、退職後のトラブルを防ぐために「口外禁止」や「互いに誹謗中傷しないこと」などの取り決めも明記できます。
これは、退職後に会社や労働者の評判が傷つけられたり、予期せぬトラブルに発展したりするのを防ぐために有効です。
退職届だけでは、退職した後のことについて何も取り決めができません。
そのため、後日、会社が退職者のことを悪く言ったり、逆に退職者がSNS等で会社を批判したりして、トラブルになるケースもあります。
そうした事態を未然に防ぐには、退職時点で双方が「お互いに退職後の発言や行動には注意しよう」と合意しておく必要があります。
例えば、退職合意書に「退職後、互いに相手を誹謗中傷しない」「退職内容や交渉条件を外部に口外しない」などの条項を盛り込んでおけば、退職後に不要なトラブルが発生するリスクを大きく減らせます。
また、企業側にとっても、労働者との信頼関係を円満に終わらせる手段として有効です。
このように、退職合意書を活用すれば、退職後の言動についてもルールを明確にでき、安心して新たな一歩を踏み出すことができます。
4章 退職勧奨で退職届を求められた場合の対処法
退職勧奨を受けた際、会社から退職届の提出を強く求められることがありますが、必ずしもその場で応じる必要はありません。
冷静に対応することで、不要なトラブルを防ぐことができ、あなた自身の生活やキャリアを守ることにも繋がります。
退職勧奨で退職届を求められた場合の対処法としては、以下の4つがあります。
対処法2:弁護士に相談する
対処法3:退職条件を交渉する
対処法4:退職合意書を締結する
それでは、順番に詳しく見ていきましょう。
4-1 対処法1:退職届を提出せず一度持ち帰る
退職勧奨を受けて退職届を求められても、その場で提出せず、一度持ち帰って冷静に検討することが大切です。
なぜなら、勢いで退職届を出してしまうと、自分に不利な条件で退職することになりかねないからです。
会社側から「今日中に書いてください」などと強く迫られることがありますが、その場でサインを求められても応じる義務はありません。
退職はあなたの人生に関わる大きな判断ですので、きちんと内容を理解し、納得してから判断すべきです。
一度持ち帰れば、文面を確認したり、専門化に相談したりする時間ができます。
このように、退職届の提出を求められても、まずは「弁護士に相談したいので、一度持ち帰ります」とだけ伝えて持ち帰ることで、自分の権利を守る第一歩となります。
4-2 対処法2:弁護士に相談する
退職勧奨を受けた際には、弁護士に相談することで、自分にとって不利益のない形で退職できる可能性が高まります。
外資系企業から退職勧奨をされた際にどのように対応していくべきかについては、見通しやリスク、意向などを踏まえて、慎重に検討すべきことです。
一度回答を行ってしまうと後から撤回することは簡単ではありませんし、適切な方針を立てて、一貫した対応を行っていくことが非常に重要となります。
退職勧奨については、労働者の発言や行動などの一つ一つが結果に大きく影響してくることが多くなっています。
このように、退職勧奨に直面したときは、一人で判断せず、まずは労働問題に詳しい弁護士へ相談したうえで、適切な方針を立てたうえで対応していきましょう。
4-3 対処法3:退職条件を交渉する
退職勧奨を受けたときは、ただ退職届を出すのではなく、退職条件について会社としっかり交渉することが大切です。
退職勧奨に応じるかどうかは労働者の自由である以上、生活やキャリアを守るために交渉を行うことについても労働者の権利です。
会社からの退職勧奨には、特別退職金、退職時期、ガーデンリーブ。有給休暇の消化、退職理由の取り扱いなど、交渉すべき項目が多くあります。
これらを何も確認せずに退職届を出してしまうと、あとから不利益な条件で退職することになってしまいます。
このように、退職条件は一方的に決められるものではなく、あなたにも交渉する権利があります。
会社から提示された内容に納得できない場合は、遠慮せず条件改善を求めましょう。
ただし、一度、退職条件の提案をしてしまうと後から方針を変更することも多く、提示すべき内容は慎重に検討をしたうえで決めるべきものです。
弁護士に相談し、方針に浮いて十分に検討したうえで回答した良いでしょう。
4-4 対処法4:退職合意書を締結する
退職条件について双方で合意に至ったら、その内容を退職合意書にしておくようにしましょう。
会社から口頭で言われただけですと、後からそのような発言はしていないなどと言われがちです。
また、メールなどの記録があっても、担当者が勝手にそのようなことを言っただけであるなどと言われることもあります。
そのため、合意した内容については、退職合意書と言う形で条項にしておくべきなのです。
ただし、退職合意書については、会社側が労働者に一方的に不利な条項などを入れていることも多いので、よく確認しましょう。
とくに、外資系企業では、労働者の義務や権利の法規が細かく詳細に記載されている傾向にありますので、サインする前にその内容についてよく確認するようにしましょう。
5章 外資系企業の退職勧奨対応はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の退職勧奨対応は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、外資系企業における退職勧奨問題について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決事例の一部については、以下のページから確認いただくことができます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
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初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
6章 まとめ
以上のとおり、今回は、退職勧奨で退職届は必要かを説明したうえで、書き方や退職合意書によるべき理由4つを解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
“まとめ”
・退職勧奨を受けた場合、基本的に退職届を出す必要はありません。
・退職勧奨を受けた場合に使える退職届の例文のテンプレートは以下のとおりです。
・退職勧奨では退職届ではなく合意書にするべき理由としては、以下の4つがあります。
理由1:会社側の合意も証拠に残る
理由2:離職理由を明確にできる
理由3:特別退職金やガーデンリーブを交渉できる
理由4:口外禁止や誹謗中傷の禁止を約束できる
・退職勧奨で退職届を求められた場合の対処法としては、以下の4つがあります。
対処法1:退職届を提出せず一度持ち帰る
対処法2:弁護士に相談する
対処法3:退職条件を交渉する
対処法4:退職合意書を締結する
この記事が外資系企業から退職届を提出するように求められて困っている方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日