会社から解雇されたらどうなる?もらえるお金とやるべき手続き6つ
外資系企業から解雇されたらどうすればいいのか知りたいと悩んでいませんか?
解雇を告げられてしまうと、生活のことやキャリアのことなど様々な不安が頭をよぎりますよね。
解雇されたら、その日からお給料を払ってもらえなくなりますし、退職したものとして籍も外されてしまいます。
一方で、解雇されたら、解雇予告手当、退職金、バックペイ、慰謝料、解決金といったお金をもらえる可能性があります。
解雇されたら、最初に弁護士に相談依頼をすることをおすすめします。その後、社会保険や失業保険の手続きをしたり、会社に通知を送付し交渉や裁判手続きを行ったりしていきます。
解雇されたら争う際にやってはいけないNG行動がいくつかあります。しっかりと方針を決めたうえで一貫した対応を行わないと不利な評価を受けてしまうことがあるのです。
実は、解雇された場合でも正しい対応をしていくことにより、経歴上のブランクが空いてしまうことや解雇の経歴が残ってしまうことを防げたり、再就職までに必要な生活の補償を獲得できたりすることもあります。
この記事をとおして、外資系企業から解雇されたらどうすればいいのかについて正しい知識を知っていただければ幸いです。
今回は、会社から解雇されたらどうなるかを説明したうえで、もらえるお金とやるべき手続き6つを解説していきます。
この記事を読めば、解雇された場合の正しい対応がよくわかるはずです。
解雇された場合に「やるべきこと」と「やってはいけないこと」は、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次(contents)
1章 解雇されたらどうなる?
解雇されたら、解雇日以降は、その会社を退職したものと扱われることになります。
解雇とは、雇用主が労働者を一方的に退職させることだからです。
具体的には、会社は、解雇日した以降は、労働者に対して、お給料を支払わなくなります。
また、会社は、社会保険や雇用保険についても、解雇日をもって資格を喪失したとの手続きを行います。
その他、労働者に対して、退職関係書類を送付するなどの対応を行ってきます。
このように労働者は、解雇されたら、生活の糧となる給与をもらえなくなり、かつ、籍が外れてしまうことによりキャリア上のブランクも空いてしまうことになります。
2章 解雇されたらもらえるお金5つ
解雇されたらもらえる可能性があるお金がいくつかあります。
具体的には、解雇されたら、もらえる可能性のあるお金としては、以下の5つがあります。
それでは、順番に説明していきます。
2-1 解雇予告手当|30日前の予告がない場合
解雇されたらもらえる可能性のあるお金の1つ目は、解雇予告手当です。
会社は、労働者に対して、解雇を言い渡す際には、30日前に解雇の予告をしなければなりません。
この解雇の予告を行わない場合には、予告に代えて30日分の手当を支払うことになります。
そのため、会社から、解雇の予告をされていない場合には、30日分の解雇予告手当の支払いを請求することができます。
ただし、解雇予告手当については、解雇が有効な場合には支払われるものであり、解雇の効力を争う場合には、これを請求すると矛盾してしまうため注意が必要です。
2-2 退職金|退職金規程の支給要件を満たす場合
解雇されたらもらえる可能性のあるお金の2つ目は、退職金です。
解雇されたら、労働者は、その会社を退職したものと扱われることになります。
そのため、会社に退職金規程がある場合には、その条件を満たせば退職金を請求することができます。
ただし、退職金についても、退職することになるのは解雇が有効な場合であり、解雇の効力を争う場合には、これを請求すると矛盾してしまうため注意が必要です。
2-3 バックペイ(解雇後の給与)|解雇が無効な場合
解雇されたらもらえる可能性のあるお金の3つ目は、バックペイです。
バックペイとは、解雇日以降のお給料のことです。
労働者は、解雇が無効とされた場合には、原則として、解雇日から解決までの賃金を遡って請求することができます。
例えば、令和6年2月末に解雇されて、令和6年12月末に解決した場合には、10か月分の賃金が後から遡って支払われることになります
バックペイ(解雇後の賃金)については、以下の動画でも詳しく解説しています。
2-4 慰謝料|解雇悪質性が高い場合
解雇されたらもらえる可能性のあるお金の4つ目は、慰謝料です。
慰謝料とは、解雇による精神的苦痛の補填をするためのお金のことです。
解雇の悪質性が高い場合に認められることがあります。
ただし、簡単には認められない傾向にあり、認められたとしてもその金額が低廉とある傾向にあります。
バックペイの支払いがされることにより、労働者の精神的苦痛が一定程度癒えるものと考えられているためです。
不当解雇の慰謝料については、以下の動画でも解説されています。
2-5 解決金|和解する場合
解雇されたらもらえる可能性のあるお金の5つ目は、解決金です。
解決金とは、紛争の解決するための対価です。
解雇を争い和解する際などに支払われることがあります。
解雇に関して交渉による解決をする場合には、賃金の3か月分~6か月分程度が相場です。
労働審判により解決する場合には、労働者敗訴の心証の場合には賃金の2~3か月分程度、どちらの言い分が認められるか微妙な事案の場合6か月分前後、労働者勝訴の心証の場合には賃金の6か月分~1年分程度が相場となります。
3章 解雇されたらやるべき手続き6つ
解雇されたらやるべき手続きがあります。
会社は、雇用主側の立場に基づいて、一方的にどんどん手続きを進めてきます。
労働者としても、自身の方針に基づいて一貫した対応をしていくことが必要となります。
具体的には、解雇されたら以下のよう手続きを行うことを検討しましょう。
手続き2:内容証明郵便の発送
手続き3:社会保険の切り替え
手続き4:示談交渉
手続き5:労働審判・訴訟
手続き6:失業保険の仮受給
それでは、これらの手続きについて順番に説明していきます。
3-1 手続き1:弁護士に相談・依頼
解雇されたらやるべき手続きの1つ目は、弁護士に相談・依頼することです。
解雇されたら、見通しやリスクなどを踏まえたうえで、方針を策定する必要があります。
どのような解決を目指していくかによって、取るべき対応も変わってきます。
解雇を争う際には、裁判手続きが必要となることが多く、交渉においても法的な議論が必要となるため、弁護士に依頼した方がいいでしょう。
3-2 手続き2:内容証明郵便の発送
解雇されたらやるべき手続きの2つ目は、内容証明郵便の発送です。
方針が決まり解雇を争う場合には、会社に対して、解雇が無効であること、及び、解雇日以降の賃金を求めること、解雇理由証明書を求めること等を通知します。
証拠になり得るものであるため、内容証明郵便に配達証明を付けて送付するといいでしょう。
ただし、一度、通知書に記載した事項については後から撤回することは難しく、自身で内容証明郵便を送ったという方には不利な記載をしている方が多いです。
不利な記載をした内容証明郵便は、むしろ会社側が解雇理由を基礎づける証拠として用いてくるケースもあります。自身で記載している事項なので争うことも簡単ではないのです。
弁護士に依頼することにしている場合には、自分で内容証明郵便を送る前に弁護士に相談して、弁護士に通知書を送ってもらうことをおすすめします。
3-3 手続き3:社会保険の切り替え
解雇されたらやるべき手続きの3つ目は、社会保険の切り替えです。
解雇の効力を争う際に、社会保険の資格喪失を認めて切り替えを行うことは解雇を認めることになってしまうのではないかと疑問を感じる方もいるでしょう。
しかし、行政通達は、解雇の係争中であっても、一応資格を喪失したものとして処理し、健康保険証は回収することとしています(昭和二五年一〇月九日保発第六八号)。
健康保険証を使用し続けると詐欺罪として処罰されるリスクがあります。
一方で、日本では、国民皆保険制度が取られているため、いずれかの保険に加入しなければなりません。
そのため、紛争の拡大を防ぐため、一時的に、社会保険の切り替えに協力することが通常です。
ただし、誤解を防ぐため、解雇を認める趣旨を含まない旨を明示しておくべきでしょう。
3-4 手続き4:示談交渉
解雇されたらやるべき手続きの4つ目は、示談交渉です。
会社との間で話し合いによる解決を行うことが可能なのであれば、折り合いをつけることが可能かどうか協議することになります。
一方で、会社側が話し合いに消極的である場合、双方の考えている解決に乖離がある場合には、示談交渉をする意味もないため示談交渉を行わないこともあります。
3-5 手続き5:労働審判・訴訟
解雇されたらやるべき手続きの5つ目は、労働審判・訴訟です。
話し合いによる解決が難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
3-6 手続き6:失業保険の仮受給
解雇されたらやるべき手続きの6つ目は、失業保険の仮受給です。
失業保険は、本来、失業した場合に受給するものであり、解雇を争う際には、労働者としては、失業していないという立場のため、受給することは矛盾するようにも見えます。
しかし、解雇を争っている場合のために失業保険の仮受給という制度があります。
仮の受給なので、離職日や離職理由が変更になった場合に返還する必要がありますが、離職日や離職理由に変更がなければ返還の必要はないものです。
例えば、労働審判では解雇日付けで会社都合により合意退職したものとして和解が成立するケースも多く、返還せずに済むことも多いです。
一方で、失業保険の受給できる期間については、原則として、離職日の翌日から1年間という制限があるので、紛争が解決した後に手続きを行うのでは遅いことがあります。
そのため、解雇を争う期間の生活を維持するため、失業保険の仮受給の手続きを行うといいでしょう。
ただし、失業保険の仮受給をするには、労働審判の申立書や訴状等の解雇を争っている書面が必要となります。
失業保険の仮給付については、以下の動画でも詳しく解説しています。
4章 解雇されたら争う際にやってはいけないNG行動3つ
解雇されたら争う際にやってはいけないNG行動があります。
解雇後の労働者の態様によっては、会社側から反論の材料とされてしまうことがあるのです。
例えば、解雇されたら争う際にやってはいけないNG行動としては、以下の3つがあります。
NG2:退職や解雇を認める発言をする
NG3:長期間何もせず放置する
それでは、これらのNG行動について順番に説明していきます。
4-1 NG1:退職金や解雇予告手当を請求する
解雇を争う際のNG行動の1つ目は、退職金や解雇予告手当を請求することです。
退職金や解雇予告手当は、解雇が有効である場合に支払われるものです。
これらを請求してしまうと労働者自身も解雇の効力を認めてしまうことになり、解雇を争う際には矛盾してしまうことになります。
労働基準監督署などに行くと、解雇予告手当を請求できるなどと助言され、言われるままに解雇予告手当を請求してしまったという例が散見されます。
退職金や解雇予告手当の請求は、解雇を争うかどうかを慎重に検討してから行うようにしましょう。
4-2 NG2:退職や解雇を認める発言をする
解雇を争う際のNG行動の2つ目は、退職や解雇を認める発言をすることです。
人によっては、会社に対して、「私もこんな会社で働きたくない」、「退職することは構わない」、「次の転職先が決まっている」などの発言をするケースがあります。
しかし、このような発言をしてしまうと、労働者自身も退職や解雇が有効であると認めていた、労働者自身も働く意思がなかったなどの反論をされることになります。
そのため、退職や解雇を認める発言をしないように注意しましょう。
4-3 NG3:長期間何もせず放置する
解雇を争う際のNG行動の3つ目は、長期間何もせず放置することです。
解雇された後、長期間何もせずに放置した場合も、労働者自身も退職や解雇が有効であると認めていた、労働者自身も働く意思がなかったなどの反論をされることになります。
そのため、解雇されたら早めに行動するようにしましょう。
5章 解雇されたら気になる疑問3つを解消
解雇されたら気になる疑問としては、以下の3つがあります。
Q2:解雇されたら転職に影響がある?
Q3:解雇されたら争うべき?
これらの疑問について順番に解消していきます。
5-1 Q1:解雇されたら一度は出勤した方がいい?
解雇を争う場合であっても、解雇日以降は出勤せずに、解雇が無効である通知書を送付するという態様をとることが多いです。
無理に出勤を強行しようとすると警察を呼ばれてしまい、紛争が拡大することも多いためです。
ただし、解雇や退職を認めるような態様をとってしまった場合には、会社の入り口まで行き、業務指示を求める等の態様をとっておくべきケースもあります。
また、解雇通知書が交付されていないなど、会社から解雇をされたのかどうか不明確な場合には、合意により退職したとうの反論を避けるため、出勤した方がいいことがあります。
5-2 Q2:解雇されたら転職に影響がある?
解雇されたら転職に影響がないとはいえません。
解雇の場合には、履歴書には、「退職」とだけ記載して、解雇とまでは記載しない方が多いです。
しかし、面接で「なぜ前職を退職したのですか」と聞かれた際に、嘘をつくことは許されません。
そのため、解雇を争う際に、退職を前提とした和解を行う場合には、「解雇を撤回して、合意により退職したことを確認する」条項を入れておくことが多いです。
解雇ではなく合意により退職したとの和解にすることにより、転職に不利益が生じないようにするのです。
5-3 Q3:解雇されたら争うべき?
解雇されたら争うべきかどうかは、見通しやリスクを分析したうえで、検討すべき事項となります。
解雇については法律上、厳格な条件が定められていますので、不当な解雇であるケースも多いです。
一方で、解雇理由や証拠によっては争うことが難しい場合もあります。
そのため、弁護士に相談し法的な見通し等を相談したうえで、争うかどうかを決めるのがいいでしょう。
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7章 まとめ
以上のとおり、今回は、会社から解雇されたらどうなるかを説明したうえで、もらえるお金とやるべき手続き6つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
まとめ
・解雇されたら、解雇日以降は、その会社を退職したものと扱われることになります。
・解雇されたら、もらえる可能性のあるお金としては、以下の5つがあります。
・解雇されたら以下のよう手続きを行うことを検討しましょう。
手続き1:弁護士に相談・依頼
手続き2:内容証明郵便の発送
手続き3:社会保険の切り替え
手続き4:示談交渉
手続き5:労働審判・訴訟
手続き6:失業保険の仮受給
・解雇されたら争う際にやってはいけないNG行動としては、以下の3つがあります。
NG1:退職金や解雇予告手当を請求する
NG2:退職や解雇を認める発言をする
NG3:長期間何もせず放置する
この記事が解雇されたらどうすればいいのか悩んでいる外資系企業の労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日