外資系から試用期間でクビにされた!?解雇理由3つとその後の対処法
外資系企業に入社したものの試用期間でクビにされそうで困っていませんか?
入社してから数か月でクビにされてしまうと、キャリアも傷ついてしまいますので、次の転職先を見つけることも簡単ではないですよね。
外資系企業の試用期間とは、入社後、労働者が本採用するにふさわしい適性を有しているかを判断するための期間のことです。
外資系企業の試用期間であっても、解雇権濫用法理が適用されるため、労働者をクビにすることは容易ではありません。
外資系企業でよくある試用期間のクビの理由としては、パフォーマンス不足が最も多いですが、積極性や協調性の欠如やハラスメントなどを理由とされることもあります。
外資系企業の試用期間でクビにされる前兆としては、レビューで低評価を付けられることから始まり、試用期間を延長され、ロックアウトされたり、退職勧奨されたりといったことがあります。
外資系企業の試用期間であっても、会社から退職パッケージを提示されることがあります。
外資系企業から試用期間でクビにされてしまった場合でも、焦らずに冷静に対応するようにしましょう。
実は、試用期間でクビにされてしまった場合でも、その後の対応次第で生活やキャリアを守ることができる場合があるのです。
この記事をとおして、多くの外資系企業で働く労働者の方に試用期間でクビにされてしまった場合の権利について知っていただければ幸いです。
今回は、外資系の試用期間について説明したうえで、よくあるクビの理由3つとその後の対処法を解説していきます。
この記事を読めば、外資系の試用期間でクビにされそうになった場合に、どうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次(contents)
1章 外資系の試用期間とは
外資系企業の試用期間とは、入社後、労働者が本採用するにふさわしい適性を有しているかを判断するための期間のことです。
採用時の応募書類や面接だけでは分からない適性を判断するために設けられている期間となります。
通常、入社から3か月程度の試用期間が設けられています。長い企業だと6か月程度の試用期間が設けられていることがあります。
もし、試用期間が付されているかを確認したい場合には、労働条件通知書やオファーレターに試用期間の記載があるかを確認しましょう。
英文の場合には、「Probationary Period」との記載になります。
また、稀に労働条件通知書やオファーレターには試用期間の記載がないのに就業規則には試用期間の規定がされていることもありますので気を付けましょう。
2章 外資系の試用期間でもクビは容易ではない
外資系企業の試用期間であっても、労働者をクビにすることは容易ではありません。
試用期間中や試用期間満了時の解雇であっても、解雇権濫用法理が適用されることになり、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当と言えなければ無効となるためです。
本採用後の解雇よりも広い範囲で有効性が認められるとされていますが、会社側において合理性を基礎づける事実について主張立証しなければいけないことに変わりありません。
会社側が解雇を基礎づける根拠となる事実を主張立証できない場合には、試用期間中といえども解雇は認められないことになるのです。
また、外資系企業であっても、日系企業と同様に労働契約法が適用されることになりますので、外資系であること自体から解雇のハードルが下がることもありません。
そのため、外資系企業の試用期間であっても、クビは容易には認められないのです。
3章 外資系でよくある試用期間のクビの理由
外資系において試用期間でクビにされる理由には、いくつかの特徴があります。
例えば、外資系でよくあるクビの理由としては以下の3つがあります。
理由2:積極性や協調性の不足
理由3:ハラスメント
それでは、これらの理由について順番に説明していきます。
3-1 理由1:パフォーマンス不足
外資系におけるクビの理由の1つ目は、パフォーマンス不足です。
会社から期待される成果をあげることができないと解雇されることがあります。
とくに外資系企業では、成果を重視する傾向にあり、厳しいKPIを設定されることになります。
高額な年俸に見合う成果をあげることができていないと、クビにされてしまうことが多いのです。
3-2 理由2:積極性や協調性の不足
外資系におけるクビの理由の2つ目は、積極性や協調性の不足です。
外資系では成果を求められることになりますが、成果だけを出していればいいというわけではなく、業務態度についても見られています。
とくに、ミーティングなどで発言をしているかどうかといった積極性、ほかのチームメンバーと円滑なコミュニケーションがとれているかといった協調性は指摘されることが多い事項です。
3-3 理由3:ハラスメント
外資系におけるクビの理由の3つ目は、ハラスメントです。
昨今、多くなってきているのがハラスメントを理由とする解雇です。
とくに、マネージャーやディレクターといったポジションで入社した方は注意が必要です。
部下からの評判が悪かったり、部下からの通報があったりすると、解雇の理由とされてしまう傾向にあります。
4章 外資系の試用期間でクビになる前兆
外資系の試用期間でクビになる際には、前兆があります。
外資系企業では、労働者を退職させるためのフローを設けていることが多いのです。
例えば、外資系の試用期間でクビになる前兆としては、以下の4つがあります。
前兆2:試用期間を延長される
前兆3:ロックアウトされる
前兆4:退職勧奨をされる
それでは、これらの前兆について一つずつ順番に説明していきます。
4-1 前兆1:レビューで低評価をつけられる
外資系の試用期間でクビになる前兆の1つ目は、レビューで低評価を付けられることです。
外資系企業では、半期に一回程度パフォーマンスレビューが行われます。
試用期間中の場合には、試用期間満了の1か月程度前にパフォーマンスについての評価を言い渡されることがあります。
その際に、本採用拒否になるような場合には、会社側から辛辣な評価をされることになります。
4-2 前兆2:試用期間を延長される
外資系の試用期間でクビになる前兆の2つ目は、試用期間を延長されることです。
本採用を拒否されるような場合には、「当初の3か月では期待に沿うようなパフォーマンスをしていただくことができなかったので、もう3か月だけ様子を見てみたい」等の指摘をされることがあります。
会社側としても、3か月程度でクビにするだけの証拠を集めることが難しいため、試用期間を延長して解雇するに足りる証拠を集めようとするのです。
試用期間を延長された後は、1週間に一回程度のミーティングを設定されて、細かいKPIなどを課される傾向にあります。
4-3 前兆3:ロックアウトされる
外資系の試用期間でクビになる前兆の3つ目は、ロックアウトされることです。
外資系企業で、退職させると決めた労働者をロックアウトすることがあります。
例えば、PCへのアクセスできないようにして、自宅待機を命じるといったようなことが典型です。
ロックアウトされてしまうと、労働者はその会社で働き続けることは難しいのではないかと感じてしまい、転職活動などを始める方もいるためです。
4-3 前兆4:退職勧奨をされる
外資系の試用期間でクビになる前兆の4つ目は、退職勧奨をされることです。
外資系企業に限らず、日系企業も同様ですが、本採用を拒否する間に、自主的に退職するように勧められます。
会社側としては、解雇をすると紛争化する可能性が高く、高額なバックペイを命じられるリスクがあるためです。
5章 外資系の試用期間とパッケージ交渉
外資系企業の試用期間であっても、会社から退職パッケージを提示されることがあります。
先ほど説明したように、会社側としては紛争化を避けるため労働者に自主的に退職してもらいたいですが、生活等が補償されていないと労働者は退職に応じないためです。
例えば、試用期間中の本採用拒否の際に提示されるパッケージの相場は、賃金の2か月分~6か月分程度となります。
外資系企業では、本来、勤続年数をベースにパッケージを提示してくることが多いため、試用期間中ですと会社からは適正なパッケージは提示されにくい傾向にあります。
パッケージ交渉を行う場合には、労働者としては、日本の労働法制に基づいて、毅然とした態度で、交渉を行っていくことになります。
外資系企業のパッケージについては、以下の記事で詳しく解説しています。
外資系企業における退職勧奨のパッケージについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
6章 外資系の試用期間でクビにされたその後と対処法
外資系企業から試用期間でクビにされてしまった場合でも、焦らずに冷静に対応するようにしましょう。
試用期間でクビにすることが不当な場合であっても、外資系企業は一度、解雇通知を出すと、解雇が有効な前提で手続きを進めてきます。
労働者自身が行動を起こさなければ生活やキャリアを守ることはできないのです。
具体的には、外資系企業から試用期間でクビにされた場合には、以下の方法で対処していきましょう。
対処法2:解雇理由証明書を請求する
対処法3:交渉をする
対処法4:労働審判又は訴訟を申し立てる
それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。
6-1 対処法1:弁護士に相談する
外資系に試用期間でクビにされた場合の対処法の1つ目は、弁護士に相談することです。
クビにされてしまった場合に、どのように対処していくかについては、見通しやリスクを分析したうえで、慎重に判断することになります。
外資系企業の解雇問題については専門性が高く、法的な事項であるため、この分野に精通している弁護士に相談しなければ、正確な見通しやリスクを把握することが困難です。
そのため、外資系企業から試用期間でクビにされた場合には、まずは弁護士に相談することになります。
6-2 対処法2:解雇理由証明書を請求する
外資系に試用期間でクビにされた場合の対処法の2つ目は、解雇理由証明書を請求することです。
解雇理由証明書というのは、文字通り、解雇理由が記載された書面となります。
会社は、労働基準法上、労働者から解雇理由証明書を請求された場合には、これを交付する義務があります。
労働者は、解雇理由証明書の交付を受けることで、自分が解雇された理由を知ることができますので、どのような反論をして、どのような証拠を集めればいいかが分かり準備をしやすくなります。
また、会社側が後から解雇理由を追加しにくくなるという事実の意味もあります。
6-3 対処法3:交渉をする
外資系に試用期間でクビにされた場合の対処法の3つ目は、交渉をすることです。
解雇理由が明らかになり、会社の主張が明らかになると、争点が見えてきますので、話し合いにより折り合いをつけることが可能かを協議します。
6-4 対処法4:労働審判又は訴訟を申し立てる
外資系に試用期間でクビにされた場合の対処法の4つ目は、労働審判又は訴訟を行うことです。
話し合いによる解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた解決を検討します。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
6章 外資系企業の解雇はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
外資系企業の解雇の相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
解雇の有効性につき見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
解決実績の一部については、以下のページから確認する事が出来ます。
解決事例 | 外資系労働者特設サイトbyリバティ・ベル法律事務所 (libertybell-tokusetu.com)
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初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
7章 まとめ
以上のとおり、今回は、外資系の試用期間について説明したうえで、よくあるクビの理由3つとその後の対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
まとめ
・外資系企業の試用期間とは、入社後、労働者が本採用するにふさわしい適性を有しているかを判断するための期間のことです。
・外資系企業の試用期間であっても、労働者をクビにすることは容易ではありません。
・外資系でよくあるクビの理由としては以下の3つがあります。
理由1:パフォーマンス不足
理由2:積極性や協調性の不足
理由3:ハラスメント
・外資系の試用期間でクビになる前兆としては、以下の4つがあります。
前兆1:レビューで低評価をつけられる
前兆2:試用期間を延長される
前兆3:ロックアウトされる
前兆4:退職勧奨をされる
・試用期間中の本採用拒否の際に提示されるパッケージの相場は、賃金の2か月分~6か月分程度となります。
・外資系企業から試用期間でクビにされた場合には、以下の方法で対処していきましょう。
対処法1:弁護士に相談する
対処法2:解雇理由証明書を請求する
対処法3:交渉をする
対処法4:労働審判又は訴訟を申し立てる
この記事が外資系企業から試用期間でクビにされそうで困っている方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日